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3.11と通訳案内士

あの3.11の大震災から既に半年以上たった。地震による被害の規模もさることながら、それによって起きた福島原発事故は全世界の人々を震撼させた。これに対して世界各国がどのように反応したかは周知の通りである。日中関係で言うとあの時、日本に居住する中国の人々の多くは日本を離れ故国に一旦戻って行った。その中には留学生も多数いたから、彼らのアルバイト先で従業員がいなくなり営業を一時停止したお店もでた。国際線はパニックになり、チケットは数十万円にまで高騰した。それでも帰国希望者はあとをたたなかった。

萩 当然、訪日観光客はほぼゼロ状態となり、以後我々の仕事も限りなくゼロに近くなって行った。世の中は自粛ムードに支配され海外旅行に出かける人も激減して旅行業界は危険水域にまで落ち込んだ。原因は違うが以前新型肺炎が世界的に流行した時にも人の往来がなくなり今回と同じ様な状態になった事がある。しかし今回は回復までより長い時間がかかると思われる。関係筋の間では中国人旅行客への影響は他の国々より早く回復するだろうと言われているが、まだ回復には至っていない。

震災発生から今日まで、観光庁やJNTOは海外に向けて正しい情報を提供し、中国・韓国など主要国政府と連携して様々な訪日促進活動を行ってきた。西日本では他の地域に先駆けて、旅行の安全をPRする為に外国人が今まであまり訪れる事がなかった地域を含めて、外国人を招請する事業を活発化させている。地方自治体等が観光誘致の為の事業に今後更に力を入れ始めれば、企業関係の仕事や一般ツァーの仕事を埋めるまでにはいかないだろうが、民間ツアーの落ち込みを少しでも埋められる仕事になり得るかもしれない。また外務省は今後、海外のツイッター発信者を招き被災地を訪問するなどして風評被害の軽減に務めると言う。

しかし、インバウンド業界が被った風評被害はあまりにも大きい。世界地図を見ると日本はほんの“数センチ”しかない小さな国だ。どんなに安全を強調しても外国の人たちに信じてもらうまでには科学的根拠が必要だし、それには時間がかかる。風評についての心配の種はまだまだ尽きない。そして円高の影響も続く。しかし、今後の見通しはよくわからないが期待できることもある。来年は日中国交回復40周年だ。さまざまな記念イベントが計画されている。日中双方が積極的に動き出せば落ち込んでいる市場も中国語ガイドの仕事も劇的に好転するかも知れない。

玉簾 我々通訳案内士は存亡の危機にあるとはいえ悲観ばかりしてはいられない。風評に負けることなく外国人旅行者を惹きつけてやまない多彩な旅行企画を各方面に提案していこう。自分自身と外国人旅行者の立場を入れ替えじっくり考えれば、きっといいアイデアが浮かぶのではないか、良い案であれば後は実現に向けて努力するだけである。

(小玉 哲弥)

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