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中国人団体観光ツアーと通訳案内士

日本政府は、2003年からビジット・ジャパン・キャンペーン政策を打ち出し、「観光立国」を目指して、特に、中国・韓国に重点を置き、日本への観光旅行誘致をはかってきました。観光で町おこしをして、地方の活性化、雇用の促進をはかろうという戦略です。

国内での個人消費が冷え込む中、中国からの観光客を増やし、経済を活性化するため、2009年7月には、年収300万円以上の中国人富裕層に観光ビザ解禁、2010年7月には年収80万円以上の中間層へと大幅にビザ発給要件を広げました。

ところが、昨年3月11日に起きた東日本大震災とそれに続く福島原子力発電所での放射能漏れ事故は、外国人に日本訪問に対する恐怖を与え、訪日外国人観光客数は、前年(3月〜6月)比36%1に激減しました。今年の3月〜6月には、震災前の2010年3月〜6月の95%まで回復しましたが、これは個人客の回復によるものであり、団体募集ツアーの回復は遅く、打撃は続いているといった状況です。

そのような中、東日本大震災後、急激に落ち込んだ外国人旅行客数のうち中国人観光客数は、尖閣諸島の国有化で日中関係が悪化する前の8月末までに、2010年(1月〜8月)比109%2と順調に回復しました。

しかし、中国人の80%近くは団体ツアーで日本を訪れていますが、中国人団体観光ツアーを取り扱う日本の旅行会社の76%が「採算があわない」として、今後取り扱いを中止したり、控える方針であることがNHKの調査3でわかりました。

日本の旅行会社は、東京・大阪間を5泊程度で移動し京都や富士山などの観光名所を見てまわる「ゴールデン・ルート」のツアー等の請負価格を、中国の旅行会社から一人当たり1万円程度まで下げることを求められたりするからですが、この背景には、日本政府によるビザ発給要件の緩和があり、中国の旅行社が「中間層」にも手が届くツアー価格を追求した結果、価格競争が激化したのです。

そこで、日本政府の肝いりで力を入れている中国人観光ツアーにおいて、企業倫理に反する行為がまかりとおっていることを知っていただきたいと思います。

NHK総合テレビや毎日放送テレビの特集番組にもあったように、中国人観光客から「もう二度と来たくない」「免税店はぼったくり」と 中国でネットに書き込みがされるような悪質な中国系出身者が経営する免税店があり、「納豆キナーゼ」が入っていない健康食品を入っていると偽って高額で販売したり、無資格の中国人ガイドが高額なリベートを貰ったりと、帰国した中国人旅行客に「日本」に対し不信感を抱かせるような“ぼったくり商法”が、多々平然と日本国内で行われています。

日本には、自国の歴史や民族固有の伝統や文化などの正しく深い知識やおもてなしの心を世界に発信するために、国家資格をもった通訳案内士でないと説明できないと定めた通訳案内士法があります。通訳案内士法第三十六条には、「通訳案内士でない者は、報酬を得て、通訳案内を業として行ってはならない」と規定があるにもかかわらず、日本では中国人観光ツアーを日本の国家資格を持つ通訳案内士でなく、資格のない中国人添乗員が日本の観光案内をしているケースがほとんどです。

中国では、中国の法律に従い中国の有資格ガイドが日本人ツアーを案内しているのですから、日本でも、日本の法律に従い日本の有資格者が案内するのが正当ではないでしょうか。


1 「日本政府観光局(JNTO)」
2 「日本政府観光局(JNTO)」
3 「NHKニュース 2012年7月9日」

参考:
NHK総合テレビ (2012年8月21日放送)


MBS毎日放送テレビ(2012年6月13日放送)

(田本秀子)

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