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京の食文化・・・私のこだわり

京・南禅寺畔 瓢亭 14代当主 高橋 英一氏

世界で「和食」が認められるまで、そしてこれから

今、世界中で「和食・日本料理」がブームです。ミラノの博覧会でも大変なにぎわいを見せています。しかしながら、日本料理が世界遺産に登録されるということには「ちょっと危ない」「これ以上悪くならないようにする」という目的も持ち合わせています。すなわち、いま日本料理が変な方向に走りつつあり、「和食」が「和食」でなくなってきています。「和食」と呼ばれる変なものになってきているという懸念があります。私たちは、小泉首相の時代から日本の食文化を認めてほしいと掛け合ってきましたが、なかなか認めてもらえませんでした。料理という形がはっきりしないものは認めてもらうのが難しかったわけです。そうこうしているうちに、食文化というかたちで政府にも認めようとする方向性が現れまして、私どもはここぞとばかりに京都府知事さんにお願いし、政府に掛け合ってもらいました。最初は「懐石料理」ということでお話ししましたが認められず、「日本料理」もだめで、結局「和食」ということで落ち着きました。「和食」もこれ以上荒れてしまうと、文化遺産が取り消されてしまう恐れがあるということで、我々も気を付けなければいけないと思っています。
私どもは、「京料理」が変な方向に行かないように、一生懸命色々な所でキャンペーンや講習会を行っております。平成2年からはフランスで講習を行っています。平成2年当時、フランスでは昆布だしが受け入れられませんでした。日本ですと昆布茶等でなじみもありますので、小学生でも昆布だしを美味しいと思ってくれるわけですが、外国には昆布文化がないためか全く嫌われました。けれども昆布とかつおを合わせる、そうしますと受け入られるわけです。そしてお椀にして、季節の具材や五行の彩を添え、内容の説明をしてお椀に仕上げてお出しすると称賛を浴びます。称賛して下さると言いましても、フランスの方々は流石に自国のスープの方が勝るとおっしゃるわけですが…。

京の伝統文化-----食文化

(1)京料理の歴史は4つの基礎から発展、進歩

  1. 1.宮中から−有職料理:盛り付けも雅やかで美しいものです。様式美のお料理です。
  2. 2.寺院から−精進料理:干椎茸、干瓢、干ぜんまい、塩わかめ等の乾物や保存食が発展しました。
  3. 3.茶道から−懐石料理:器、箸を取り換えて楽しむといった日本特有の文化が生まれました。
  4. 4.町衆から−おばんざい:各家庭で様々なお料理が生まれ受け継がれてきました。

(2)京料理の発展に大きな影響を与えたもの

  1. 1.松前船と北前船などの交易による北海の塩干物の入荷
    棒だら、鰊(にしん)、数の子、するめ、貝桂などが届き、それらを生かした芋棒や鰊そばなどの京名物が生まれました。
  2. 2.福井県・若狭の浜より運びこまれたー汐物
    ぐじ、鯖、鰈、小鯛、などが運ばれました。鯖寿司は京都で晴れの日に食べる名物です。
  3. 3.他府県から持ち込まれ、京都の気候風土に適して地元より立派に育つようになった京の伝統野菜
    昭和62年度に京都府が17品目、34種を伝統野菜と指定されました。地域の名前が付いています。
    (夏野菜:賀茂茄子、鹿ケ谷南瓜、伏見唐辛子など)
    (冬野菜:聖護院かぶら、聖護院大根、海老芋、堀川ごぼう、九条葱、京芹など)
  4. 4.琵琶湖や宇治川、淀川、保津川、桂川、鴨川など多くの河川で獲れる淡水魚
    昔から京都人は鯉、鮒、鮎、鮴、鰻、鯰、もろこ、川海老、すっぽんなどを好んで食し、川魚専門料理店も数多く存在しましたが、残念にも今はほとんど見られません。
    「大市」は歴史ある京都のすっぽん専門料理店で、私も「大市」ですっぽんの脂身の美味しさに出会いました。

(3)京料理は旬の食材を大切にして、めりはりのある季節感をまず目で楽しみ、味を楽しむもてなしの文化、そして料亭は日本文化の凝縮、しつらえ、空間、サービスなど、もてなしの文化は茶の心が大切

  • ●食器の文化: 世界中で様々な素材や種類の食器を使い、器で季節感を楽しむ人種は日本人だけ
    陶器、磁器、漆器、ガラス器、銀器、青竹、寵、木地、曲物、紙など手を替え品を替えコースの中に取り込んでいく。これは素晴らしい日本料理の文化です。
  • ●箸の文化: 利休の昔より箸の作法で食事を楽しむのは高い食文化の表れ
    利休箸、青竹箸、白竹箸 漆塗、螺鈿、栗、黒文字などの様々な種類の箸も美意識の文化です。ご飯がつかないように箸を濡らしたり、未使用品の証である帯封をつけたりすることは、茶事での気遣いから生まれました。
  • ●包丁の文化: 他国の包丁は両刃の文化。片刃の包丁は日本だけ
    柳刃、薄刃、出刃、鱧の骨切り包丁、剥き物包丁、鰻さき(関東形、関西形)、そば切り、寿司切りなどがありますが、日本の包丁は切れ味がよく一度使いますと必ず研ぎます。両刃の包丁は果物などを切るのには良いのですが、刺身などには不向きです。日本料理はそれぞれの用途に応じて包丁を取り換えます。包丁は技術の高いものでの種類も豊富です。京都の夏の風物詩、鱧料理には鱧の骨切り包丁が欠かせません。京の食文化に大きな影響を与えています。

(藤本 厚子)

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