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夏だ、祭りだ

台風接近中の梅雨のある日、アメリカ人の学生グループを京都に案内した。
「みなさんに日本で体験していただきたいことが3つあります。地震、台風、梅雨。本日は結構な梅雨日和、おまけに台風も経験できるという人生一度の貴重な日です。」今後台詞をかえることにする。日本で体験するべき3つのこと、地震、台風、猛暑。昔も現在も日本人はこの自然に耐え、共存して、あるいは克服して生き延びてきたのです。

京都の「祇園祭」

今まで「京都は盆地なので冬は厳しく、夏は耐え難いほど暑いです」と説明していたが、これからは消極的表現はやめることにする。夏は新しいイメージで日本を紹介したい。「ゲイシャもキモノを脱いで鴨川で行 水したくなる、京都の夏」「坊さんもバイクにまたがり、袈裟をバットマンのマントがわりに翻して疾走する河原町」。しかしこの炎天下、神社仏閣でガイドの説明を延々と聞きたくない。外国人のみなさんには是非夏の祭りを体験してほしい。

日本人はお祭りの好きな民族である。そもそも「祭り」というものは、神様を迎えてきて、その神にものをたてまつり、おもてなしする儀式であった。日本には八百万(やおよろず)の神がいる。山や大木ばかりでなく、あらゆるものに神霊がついている。いい神さんもいれば、日照りや洪水を起こす神さんもいる。悪い神さんには是非来ていただいて、うんともてなしてそのパワーを村人の利益になるよう使ってくれないか、とお願いするのもまた祭りである。春には豊作をお願いする春祭り、秋は収穫に感謝する秋祭り、正月は歳の神を 迎え、お盆には盆神さまを迎える祭りだ。

仏教が入ってきてから「盆」の祭りが仏教色の強いものになったが、もともとは神道の祭りの一種だったそうだ。神さんは酒が好きだ。ドンちゃん騒ぎが好きだ。神輿をぶつけ合ったり、川に落としたり、凶暴なことが好きだ。酒を飲んでぐでんぐでんに酔っ払った人も好きだ。昔はお酒なんてめったに飲めるものではなかったから、神さんを口実にして村人は飲んで騒いだ。そしてみんな仲良くなるのである。

岸和田の「だんじり祭り

かつてスペインのパンプローナで牛追い祭り(エンシエロ)を見て興奮したことがある。牛が町の通りを突進してくる。男達が走る走る。しかしその後で見た岸和田の「だんじり祭り」はもっと興奮した。山車が走 りだすと、ばあちゃんが走る。じいちゃんも走る。子供達も走る走る。山車の上で男が飛び上がる。山車が曲がり角の家に突進する。たまには死者も出る。岸和田市民はその日はみんなお休みだ。大阪に勤めている青年は会社を休んで祭りに参加する。

どんな祭りも若者がいなくなったら寂れてしまう。若者は祭りのやり方を先輩から学び、そして後輩に伝えていく。祭りのある限り「いいコミュニティ」が存続する。日本の犯罪率が低いのは「祭り」でエネルギーを放出しているからではないか。祭りこそ日本の顔だ。これこそ外国人に紹介したい日本人の姿だ。インターネットで「にっぽんの祭り」を検索したら、全国で7月に88件、8月は110件の祭りが出てきた。

Website:https://www.nippon.com/ja/features/h00010/

祭りは「見る」だけよりも参加したほうが10倍ぐらい楽しい。さあ、祭りにでかけよう。

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