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足立美術館―その庭園―

足立美術館 枯山水の庭と借景の山々 玄関に一歩足を踏み入れると、枯山水の庭と借景の山々が見えます。この美術館は島根県安来市出身の実業家、故足立全康氏が71歳の時(昭和45年)に、 氏が収集された数々の名作を収蔵するために、氏の出身地であるこの安来(やすぎ)の土地に建てられました。近代日本画壇の名画や陶芸の豊富な収蔵で知られ、特に横山大観の収集には心血が注がれ、ときには「大観美術館」と呼ばれるほどです。

庭園は、収蔵品の観賞を深めるためのよすがとして造られ、1万3千坪にも及ぶものです。玄関から歩を進めて行くと、茶庭、苔庭、枯山水庭、池庭、居宅(旧足立家)と茶室、そして白砂青松庭へと視界が移り変わっていきます。

まず、玄関の後ろに見える茶庭にある茶室は、桂離宮にある「松琴亭」に因んで建てられたもので、裏千家の十五代家元、千宗室氏によって「寿立庵」と命名されています。京の工匠の技を尽くして造られ、小堀遠州好みの造りを今に伝えています。

次に見える「苔庭」は、京都の庭師、故小島佐一翁によるもので、樹木はすべて斜めに植えられています。これらの樹木は、もともと山の斜面に育ったものであり、まっすぐに植えると樹木には負担である、という考えに基づくものです。

この美術館の主庭の枯山水庭は、京都の「退蔵院」の枯山水庭、大阪府堺市の「大仙公園」の日本庭園の作庭で知られる、故中根金作氏によるものです。遠くに見える山は勝山という名で、その昔、毛利と尼子の合戦で、毛利氏が本陣を張った山です。館内の窓から枯山水庭の築山が見えます。その窓から見える庭の景色は、まるで屏風絵のようで、窓がそのまま額絵になっています。「庭園もまた絵画である」と言う足立全康氏の思いが伝わります。さらに進むと、背景の亀鶴山から滝が流れ落ちているのが見えます。これは枯山水庭にある「亀鶴の滝」という人工の滝で、ポンプで循環され、15 mの高さ から庭園の渓流へと流れており、那智の滝を模しています。

次に、鯉が群れ遊ぶ「池庭」は、和風の庭と周囲の洋風的な建物との調和を考えた、和洋折衷の新しい感覚で作られています。

さらに進むと、居宅(旧足立家)と茶室があります。居宅の床の間の壁はえぐりぬかれており、そこから滝が流れ落ちている庭が見えます。あたかも一服の山水画が床の間に掛かっているようです。住居の壁を刳り貫くという、この足立氏のあまりにも斬新なアイデアは、当初は人から反対されたそうですが、今ではすっかり足立美術館の名物となっており、「生の掛け軸」と評されています。

足立美術館 白砂青松の庭 いよいよ「白砂青松の庭」です。白砂海岸に大小の青松がリズミカルに配置された、
横山大観の名作、白沙青松の持つ清澄なイメージを日本庭園に表現したものです。先ほど居宅の床の間の壁を刳り貫いたところから見えた滝はこの庭の滝です。遠景に滝があり、水の流れと池を中央にして、白砂の丘陵には、左に赤松、右に黒松が植えられています。この庭の石は、鳥取の佐治石や、四国の青石が使われていて、一番当初の造園であるためか、今では貴重な名石ぞろいだそうです。石組みは、桃山時代の武将の庭に見られるような力強く、豪快で華麗なものになっています。

足立美術館 庭園庭全体として、赤松が 800 本、黒松が 100 本、その他が植栽されています。6名の庭師が職員として常駐しており、毎朝女性職員もその作業を手伝い、夏の剪定の時期には、京都から庭師が呼ばれます。造園美をたっぷりと満喫した後は、その美しい余韻を心に留めながら、二階での名画鑑賞へと進みます。

足立美術館 ADACHI MUSEUM OF ART
入館料 大人2200円(団体20名以上1800円)
会館時間 9:00a.m.〜5:30p.m.(4〜9月)、
9:00a.m.〜5:00p.m.(10〜3月)年中無休
所在地 〒692-0064 島根県安来市古川町320
TEL (0854) 28-7111、FAX(0854) 28-6733
安来IC.より車で約10分、料金所を出て3つ目の信号を左折
JR米子駅から無料シャトルバスで30分、安来駅から20分
http://www.adachi-museum.or.jp/

(森田 昌子)

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