和紙の里 小川町

埼玉伝統工芸会館
埼玉県のほぼ中央に位置する和紙の里の小川町を訪ね、伝統的な紙すきによる和紙の製造について学んだ。紙すき体験もでき、作った和紙を持ち帰ることができる。
和紙の材料はこうぞ、みつまた、がんぴがあるが、小川和紙はこうぞだけを用いる。 こうぞは桑の仲間でmulberry。障子や日本画に使われている。毎年農閑期に栽培し収穫できる。

小川和紙は1978年に重要無形文化財に指定、2014年にユネスコ無形文化遺産に登録された。登録されたのは島根の石州半紙、岐阜の本美濃紙、埼玉小川の細川紙である。
細川紙は手すきの中の流しすきの最高級品で昔ながらの方法で作られている。

特徴としては頑丈で庶民の紙、裏方的で耐水性もあり文化財の修復にも使われている。ルーブル美術館でも美術品の修復に使われた。 名前の由来は和歌山県の高野山のふもとの細川村というところで紙が作られており、それが小川町に伝えられたことによる。(諸説あり)。 100万人都市の江戸の記録台帳としても使われた。

「久保昌太郎工房紙すき見学」 久保昌太郎工房
伝統工芸会館のほぼ前に位置し、実際の紙すきを見学できる工房である。
トロロアオイの根から出る汁を入れた水槽の中で繊維をすくい取る。これは繊維を沈みにくくする働きがある。繊維の厚さは簾がどの位見えるかで加減し、熟練のいる作業である。
昔は天日干しで乾かしていたが天候に左右され、労力も使うため今では鉄板にはりつけて乾かしている。しゅろや馬、豚毛のはけでまっすぐにならす。
ここでは着物を包むのに使うたとう紙を作っていた。通気性に優れているため。

原料のこうぞは7〜8割はタイからの輸入。国産のこうぞは15〜20倍の費用がかかるため。
処理に使うアルカリ性薬は苛性ソーダ、石灰、ソーダ灰、木灰がある。あく抜きと繊維を柔らかくする働きがある。千代紙は本来摺り師の仕事であり、紙すきは素紙を作ること。
他にも日本各地に良い和紙の産地はあり、越前は1600年の歴史がある。

都心から電車で1時間半弱の所にあり、秩父の山も見えるので、ぜひ外国人にも訪れてほしいところ。 どちらも和紙製品を売っている売店が併設され、柔らかい風合いの折り紙は外国人に折ってあげると喜ばれること間違いなし!

埼玉伝統工芸館  http://www.saitamacraft.com
久保昌太郎工房  http://kamisukinomura.web.fc2.com/


(神杉 悦子)


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