かやぶきの里

「かやぶきの里」とは
「茅葺の里」 正式名称は京都府南丹市美山町北村、この地区の約50戸(住民100人)のうち、住宅32棟、民俗資料館や店舗など6棟が茅葺き屋根の建築。
後ろに北山杉の見事な林を抱えた美しい山、その手前に点在する茅葺きの民家、前に広がる水田、そして前に流れる由良川、 この日本の原風景とも言える景観を形作るすべてのものが、平成5年12月に国の重要伝統的建造物群保存地区の選定を受けた。
茅葺き民家
「民家」 このあたりの民家は「北山型民家」と言われ、次のような特徴がある。
1. 家の中が田の字型の間取りになっている
2. 壁、戸が木で出来ている
3. 上げ庭と言われる、外より一段高い土間がある
ほとんどが江戸時代の中期から明治の初期に建てられたが、中は現代風に改造されていて、 上のような特徴を残している民家はほとんど無い。
茅の葺き替えは、一部を葺き替える部分葺き。かつては50年持った屋根が、中で火を焚かなくなったため、 屋根の南面は20年強、北面は15年ほどしか持たない。
防火対策
「放水銃」 茅葺き家屋には、火事が大敵。民俗資料館の放火事件を機に、平成14年、放水銃62基が設置された。 年2回、5月と11月に試験放水。花火、歩きたばこ、焚火は、集落内では厳禁。

民俗資料館


築200年ほどの中層農家住宅の形をよく残した家だが、平成12年に放火され、母屋、納屋とも消失。平成14年に再建。 母屋を中心に納屋、倉の三棟からなる。

母屋
「入口付近」 入母屋造り。平面は食い違いの四間取り。7〜9人が生活。
1.入口部分:土間が上げ庭になっている。(雪が多かったため)
2.炊事場:入口、玄関と一緒の場所にある。
3.台所:囲炉裏の回りに男座、女座が決まっていた。 囲炉裏の上には、火の粉止めに一段低い天井、小天(こあま)が吊ってある。
4.納戸:台所の奥にあり、板の間で藁を敷いていた。若夫婦の寝室。
5.中の間:台所の横に位置し、老夫婦の寝室。畳敷き。
6.客間:中の間の奥。畳敷き。藩の決まりで、畳(ヘリなし)は二間しか敷けなかった。 床の間と仏間を備えている。
7.うまや:玄関の横の最も日当たりの良い場所にあった。飼われていたのは牛。


「屋根裏」 火災の際に焼け残った、200年前の建物。屋根は修復。
1階:文楽の浄瑠璃台、衣装のほか生活用具を展示。
2階(屋根裏):北前船から陸揚げされた唐津、伊万里の焼き物、村のしくみを語る文書類を展示。

「資料館の中」 納屋
仕事場を中心に、物置、外便所と農具置き場を持つ、入母屋造り。

ちいさな藍美術館


新道弘之氏
1941年生(65歳)、藍染作家。京都造形芸術大学の教授を退任後、現在は同校大学院芸術研究科の非常勤講師。 現在まで創作活動のかたわら、日本各地をはじめ欧米各地で個展を開催。 シカゴ美術館、アムステルダム市立美術館,イスラエル国立美術館など多くの美術館に作品が収蔵されている。
約25年前に、製作にかかせない雑木の灰と良質の井戸水を求めて、かやぶきの里に移住。 築200年の茅葺家屋に居を構える。
2005年に、自宅屋根裏を利用して美術館をオープン。氏が長年に渡って国内外で集めた藍製品を展示。

1階:工房
20畳ほどの広さ。8個ほどの藍染・染料の入った甕が土間(かつては農家の台所)に埋め込まれている。 化学薬品を一切使用せず、原料である天然藍の葉を灰汁、ふすま、酒などを利用して常温で自然発酵させて染色をおこなう。
  [藍の葉を刈り取る → 部屋の中で発酵 → 「すくも」ができる 
     → 瓶にいれて1週間発酵 → 染色に用いる]
使用済みの液体は畑で堆肥として利用可能。工房には新藤氏が開発した絞り染めの道具有り。

2階:美術館
開館時間:午前10時〜午後5時
休館日:木、金曜日・お盆
入館料:250円、高校生以下 無料
中国、チベット、ナイジェリア、インドネシアなど世界各地の藍染めコレクション約350点の内、 常時30数点が展示されている。


(河野久美子)

前の記事へ バックナンバーリストへ戻る 次の記事へ


トップページ

Copyright(C)2001 JFG All Rights Reserved.