非日常性の魅力
私が通訳ガイドの仕事を始めたのは1993年、早いものです。経済的には決して恵まれているとはいえない仕事ですが、 この仕事の魔力にとりつかれてもう9年になります。

この仕事の魅力は何かといえば、非日常性といったところでしょうか。旅行の醍醐味が、日常を離れ、異質な風土、 風俗、文化にふれることにあるのだとすれば、そういった非日常への橋渡しをするのが通訳ガイドの仕事です。 例えば、先日仕事で外国人の団体をお連れした箱根では、一点の曇りもない青空を背景に、雪をかぶった真っ白な 富士山が目の前に現れ、お客様方は声も出ないほど感動しておられました。そういった場に立ち会うことのできる のがガイドの仕事なのです。

外国からいらっしゃるお客様をお連れする場所は観光地に限りません。国際交流の盛んな今日においては、日本中 どこでも行く可能性があります。国際交流の仕事で青森や石川県の小さな村を訪れたこともあります。また、やはり 国際交流プログラムで日本を訪れた外国人と一緒にホームステイをしたこともあります。ガイドにとってもまさに 非日常的なものとの出会いがしばしばです。
スポーツイベントに参加するチームや選手に随行し、身の回りの世話や通訳を行うといった仕事もガイドの仕事の 範疇です。観光の仕事の和気あいあいといった雰囲気とは異なったピリピリした雰囲気の中での仕事となることも 多く、気を遣いますが、試合に勝ったときなどは、勝利の味を選手たちと共有できる喜びがあります。その反面、 敗戦の場合は、選手やコーチに声もかけられないようなことも。対戦相手が日本の場合、愛国心そっちのけで、 自分の担当チームに肩入れしてしまいます。(予選で負けるとそこで仕事が終了してしまうということもあるの ですが・・・)

何年たっても勉強する事が多い仕事ですが、それが楽しみの一つでもあります。旅行にでかける前のプランニングが 楽しいと思える方にはわかっていただけると思います。この仕事を始めてから、日本文化の奥深さを改めて知りました。 我が国の文化を誇りに思うと同時に、それを海外から来る人々に伝えたいと思えば思うほど、この仕事に深くはまって 行きます。一人でも多くの方にこの国の素晴らしさを伝えていきたいと思っています。

先日、昨年のツアーのお客様方からクリスマスカードや写真が届きました。フリーの時間にお連れした商店街や 魚市場が楽しかったと書いてありました。ガイドブックに載っている日本とはまた一味ちがった日本を見ていただけたと 思っています。お客様の記憶に残り、フォトアルバムの写真に収まるガイドの仕事、やめられません。
岡野 斉明


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