熱田神宮

名古屋市熱田区に鎮座する熱田神宮は、熱田大神(草薙神剣を御霊代とする天照大神)を祭神、スサノオノミコト、 日本武尊(ヤマトタケルノミコト)、宮簀姫命(ミヤズヒメノミコト)、建稲種命(タケイナダネノミコト)を 相殿として合祀する。

19万m2の境内には、伊勢神宮にならった神明造の本宮があり、千木と鰹木が特徴的で、境内には、樹齢 千年を超える楠の巨木がある。
参拝者数も多く、年間800万〜1000万人の人が訪れる。

三種の神器とは八咫鏡(ヤタノカガミ)・ 草薙の剣(クサナギノツルギ)・八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)の3つを 指し、皇室継承のシンボルとされている。
八咫鏡は伊勢神宮に祀られ、八尺瓊勾玉は宮中に収められている。そして、もう一つの神器である草薙の剣は熱田 神宮に祀られているのである。
草薙神剣は、スサノオノミコトが出雲で八岐の大蛇(ヤマタノオロチ)を退治した際にその尻尾から出てきた宝の 剣で、「天のむらくもの剣」とも呼ばれて伊勢神宮に祀られていたが、後にヤマトタケルノミコトがこれを使って難を逃れたという。
東国を征したヤマトタケルノミコトは、宮簀姫命と結婚したが、伊吹山に悪い神がいると聞き、大切な剣を姫の元に おいて伊吹山へ出陣した。

冬の伊吹の神は白い猪と化し、容赦なく雹をみことに降らせました。みことは病に苦しみながらも故郷の大和恋しさに 歌われました。

      大和は 国のまほろば たたなずく青垣 山ごもれる 大和しうるわし

またこれが最期と、尾張に残された愛しい姫と剣のことを思われ、

      おとめの 床の辺に我が置きし つるぎの太刀 その太刀はや

と歌い終えるや、そのまま崩御されておしまいになったのです。
尾張に残された美夜受比売は、愛しいみことが残された「草薙の剣」を、蓬莱島と呼ばれる熱田の森の社におまつり し、みことの霊の安からんことを願われたそうです。

かくて熱田の地に、皇祖伝来の御剣とともに四柱の神々が祀られ、今に 至るまで、日本史上の代々の将軍、戦国武将を始め、一般民衆から熱い尊崇を集め続けることとなった。

文:森田、阿坂
参考文献:『古事記』


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