文楽すなわち人形浄瑠璃は、上方生まれの古典芸能で世界でも珍しい大人が鑑賞するための人形劇です。その起源は
能・狂言に劣らず古いのですが、現在の形で上演されるようになったのは江戸時代中期と考えられています。浄瑠璃と
三味線、そしてそれらに合わせて演技する人形という三者で成り立つ高度で洗練された舞台芸術です。
今回の研修会ではそのうち人形遣いとして活躍しておられる吉田蓑太郎さんを十二月公演中の国立劇場にお訪ねして、
出演の合間の貴重なお時間を頂戴して実演を交えたお話を聞かせて頂きました。その後十二月公演の狂言「妹背山婦女
庭訓(いもせやまおんなていきん)」を鑑賞しました。蓑太郎さんはその悲劇のヒロインともいえるお三輪の人形を
遣っておられましたが、それは師匠である人間国宝・吉田蓑助さんのもとで長年足遣いと左遣いを務めながら憧れを
募らせ、今回初めて主遣いとして挑戦された大役とのことです。
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