箱根火山
シンポジウムの看板 今回の研修は箱根へのバスツアー。 
箱根火山シンポジウム企画実行委員会が主催する「火山の国日本の箱根シンポジウム」の聴講をメインに、大涌谷 自然科学館を見学しました。

箱根の基盤は地質時代に遡ります。第三紀前期中新世(約2千万年前)に、伊豆から箱根にかけて海底火山の活動がおこりました。 そして、約30万年以前から繰り返し起こった噴火活動の後、約5万年前以降 現在の箱根火山体が形成され始めます。もっとも 最近は約3千年前の神山の水蒸気爆発で、大涌谷周囲では今でも断続的ながらも水蒸気爆発が続いています。箱根火山はフィリ ピン海プレート北端部に位置し、プレートや断層の動きと、火山活動の関係が心配されます。

大涌谷の噴煙 日本の美しい山並みや平原、湖、温泉、湧水、鉱山資源、肥沃な土地などは火山の噴火がもたらした恵みと言えますが、負の面 (災害)も含めた自然現象の本質を理解することも必要です。 2000年有珠山噴火では、前回(1977)の有珠山頂噴火、1995年の雲仙 普賢岳の犠牲の教訓から、壮瞥町の行政・科学者・住民が一体となった備えが功を奏したからこそ、最大限の減災成果を挙げる ことができたそうです。 以降、彼地で科学に対する信頼関係が構築された意義は大きく、防災啓発活動の拠点としての博物館 的施設に期待がかかってきます。 一方、今想定されている東海地震・富士山噴火では、日本の中枢に影響するだけに、その経 済的損失を承知で事前避難・警報を出す勇気ある「核」の存在の有無に危惧を覚える、という警告が発せられました。

言葉のわからない国での緊急時のお客様の誘導は私たちガイドの肩にかかってきます。 これを常に頭の隅に置いて行動しなけれ ばいけない、ということを改めて忠告された思いがしました。 だからと言って、やたらとこの事を外国からのお客様に強調する のも、恐怖感を煽るだけになってしまうので、要注意ですが。

研修中のバス内 見学中やバスの中では、顔を知らなかった会員同士の親睦のほか、実際のガイディングのヒント、新人ガイドが不安に思ってい ることの解決方法、具体的な案内のコツなどについて、経験者から以下のようなコメントやアドバイスがありました。 

●箱根の天気は難しい。悪天候のときは船、ロープウェイなど、停止しそうな訪問箇所を先に寄るとよい。
●箱根新道やスカイラインは雪で閉鎖されやすい。ターンパイクはよいが料金が高い。
●長い道中、話題の用意を。 間を取ることも効果的。
●2002年6月、大涌谷〜早雲山に新ロープウェイ開通。

通訳ガイドは独立業者ですが、各自の研鑽はもとより、仲間の実際の経験から学ぶことには重みがあり、よりよいツアーに仕上 げていく大きな要因になるということを再確認しました。

文:池沢 なるみ


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