2004年度第1回関東業務研修会(2004年6月19日(金))の見学箇所『リニア見学センター』に9時少し前に到着した。
見学センター2階にてビデオ上映と副所長による説明があり、テスト走行見学の集合時間まで同階の展示室を見学し
た。また、屋外にあるリニア模擬車両(定員20名)では車内体験をし、リニアの走行映像(4分間)を見ることがで
きた。建物の最上階(3階)に走行テスト見学用の展望フロアがあり、2階には超電導リニア説明パネルや模型、英語
ビデオ(約15分)の上映も可能なビデオ上映設備を持った展示室、1階はリニア関連グッズなどを扱う売店がある。
見学センターでリニアを見ることができる距離は1.47km。時速500kmに達したリニアが約10秒であっという間に通過し
ていった。1998年から始まった一般試乗会では、これまでに70,000人が試乗。応募倍率の平均は約100倍。2005年愛
知万博「JR東海超伝導リニア館」でダブルカスプ形状のリニアモーターカー先頭車両が展示される。
リニアモーターカー(マグレブ(MAGnetically
Levitated vehicle))開発の経緯
1962年に当時の国鉄の鉄道技術研究所は次世代の高速鉄道の開発を始めた。従来方式の鉄道の限界を打ち破る技術として、
全く非接触で時速500km以上の高速走行を可能とする超電導磁気浮上式鉄道(超電導リニア)の開発がスタートした。
リニアの原理(推進、浮上、案内)
車両の超電導磁石はN極、S極が交互に配置されている。この超電導磁石と、地上の推進コイルに電流を流すことによ
り発生する磁界との間で、N極とS極の引き合う力と、N極どうし・S極どうしの反発する力が発生し、車両が前進する
(推進の原理)。車両の超電導磁石が高速で通過すると地上の浮上案内コイルに電流が流れ電磁石となり、車両を押
し上げる力と引き上げる力が発生し、浮上する(浮上の原理)。左右の浮上・案内コイルは、電線により結ばれ、車
両が中心からどちらか一方にずれると、自動的に車両の遠ざかった側に吸引力、近づいた側に反発力が働き、車両を
常に中央に戻す(案内の原理)。
なぜ超電導か
リニアの車両を浮上させるための最も単純な選択は、車上の磁石に永久磁石を採用することであるが、人が乗れる車
両となる条件を満足させるものとして登場するのが超伝導磁石である。電気抵抗が無くなる超電導現象により、大電
流をロス無く流すことができる。また、一度流した電流は電源を取り除いても減少せず永久に流れ続け、永久磁石の
数十倍もの強力な磁石(超電導磁石)となる。リニア車両は、搭載した超電導磁石と地上側コイルとの間の磁力によ
って、車両を10cm程度浮上させ、超高速で走行する。
中央新幹線が果たす役割
リニアの舞台となる中央新幹線により東京-大阪間が約1時間で結ばれると、1)東京・大阪間が巨大な都市エリアと
なり極めて魅力的な経済市場が出現する。2)災害時の東海道新幹線の代替補完方法として効果的である。3)リニ
アは乗用車や航空機などの輸送機関に比べてエネルギー消費や排出されるCO2の量が少ないのでエネルギー、地球環
境問題へも対応できる。
山梨実験線
1997年4月に走行実験を開始した山梨実験線は、甲府盆地の境川村を起点に、八代町、大月市、都留市をほぼ東西に横
切り、終点の秋山村に至る全長42.8kmの路線である。実験目的の達成度、将来の有効利用として中央新幹線への転用
が可能なことなどから適地として選定された。
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