ロシア人お遍路さんが押しかける日も近い?

金比羅参り   バブル景気が続くロシアからは、最近日本へのリピーターが増えてきました。これから増えそうなのが四国。 本州・九州の有名どころを制覇したリピーターを徳島(+香川)へとご案内しました。
  徳島は箱根と同様、何としても晴れて欲しいところ。 徳島ツアーの特徴は、「建造物より自然」「頭(歴史・情報)より心」 「お客様、というより親戚か友達のように迎えてくれる」「何を食べてもうまくて安い。 でもお客様向けではないので、飾りがない」ことでしょうか。 すだちやワカメ・鳴門金時などの農産物以外のお土産としては、人形浄瑠璃の木偶でこ人形や藍染製品、 金長だぬきをモチーフにした「金長まんじゅう」など。阿波の狸合戦へと話が広がります。
  まず明石海峡大橋を通って鳴門へ。真っ青な空を背景に白い優雅な橋が現れたときには「お〜っ」と歓声があがります。 瀬戸内海の美しさは地中海にも負けません。 橋を渡り終えたところのPAでストップすると、格好のフォトが撮れますし、 橋を吊っているワイヤーの模型にもお目にかかれます。 それにつづく大鳴門橋の橋桁空間に設置された遊歩道「渦の道」はおすすめです。 道から下を見ると渦が見えます。側面は網構造で潮風が吹き抜けます。 観潮船の時間を調べて、船でも渦を見に行きます。巻き込まれると思う方もいるようですが、船は渦の上も通ります。 現れては消え、消えては現れる渦は不思議です。 徳島の昔話に、「鳴門海峡に大きな大きな和太鼓が沈んでおった、 太鼓の皮が破れて水が入り込み、渦を作ったんじゃ・・・。」というものもあります。
  渦の次は大塚国際美術館です。「世界の名画が全部ある。 ただし全てコピー。」というと、「なんだ、コピーか。」という反応が返ってきますが、入ってびっくり!圧倒されます。 まず、こんなものを作ろうと思い立った大塚グループに脱帽です。 ロシアの有名な画家を何度か案内しましたが、皆さん満足。 橋と美術館は日本のハイテクと自然が見事に調和していることを見せつけてくれます。 美術館の近くにおいしい鳴門鯛のお店があって、鯛尽くしを満喫できます。 鳴門はどこまでもレンコン畑が続き、蓮の花の間を縫って車を走らせると浄土にいるようです。 私の背丈より大きなかめがいっぱい並んでいる大谷焼きの窯元を尋ねるのもまたよしです。 日本の焼き物といえば清水焼のように繊細な絵付けがしてあるものと思っている彼らには、その雄大さが新鮮です。 大麻比古神社や、八十八ヶ所のうちの1番から3番までの札所もコンパクトに回れます。
  徳島市内では上田宗箇作の徳島城千秋閣庭園が美しく、沢山の橋をくぐる新町川遊覧も魅力的です。 これは、それぞれの橋の下にボートで遊覧する人にしか見えない絵が展示してあって、橋の下美術館となっています。 雨なら、もちろん雨でなくても、阿波十郎兵衛屋敷を訪ねてみては?人形浄瑠璃を毎日上演しています。 しかも、すぐ向かいの木偶人形会館では、木偶の製作過程とからくり仕掛けの解説付きで、結構楽しめます。
  お盆を狙って来日したお客様がいました。実は青森のねぶた祭り、秋田の竿灯祭り、仙台の七夕祭りを回ってからの徳島入り。 もちろん阿波踊りを見るために!一度の来日でこれだけ日本の祭りを制覇できるのだと教えていただいた私。 夕方近くにロープウェイで眉山に登り、あちこちに提灯が灯った祭り前の熱気むんむんの徳島を見下ろします。 下の方からかねが聞こえてきてから下山しても遅くありません。 ただし、阿波踊り期間中はロープウェイがかなり混んでいます。私たちは歩いて下山しました。 有料観覧席に座って有名連の踊りを鑑賞。 有名タレントが出るたびに、「これは歯磨き粉のCMに出ている俳優。歯が真っ白でしょ?あれは・・・」と、一人一人を説明。 お客様いわく「何度も日本に来ているけど、こんなに開放された日本人の顔を見たのは初めて。」 そして、上に挙げた祭りと違って、「徳島ではお祭りのためのスペースというのが決められておらず、 町中あちこちで踊っているのがすごい!」と興奮気味。 徳島の小学生は体育の時間に阿波踊りを習い、運動会のフィナーレでは全校生徒が踊ります。 そして最後には観客も一緒に踊ります。もちろん「踊る阿呆に見る阿呆」の『よしこの』の歌詞は通訳しておきます。 (『よしこの』とは、七・七・七・五調の阿波踊りのはやし唄。)
かずら橋   奥祖谷おくいやは、昔はもっと道幅が狭く車も道ぎりぎりを走り恐ろしかったのに、今は道幅も拡張され、 大型グループ受け入れ可能なレストランもあって、あまり「秘境」とは言えなくなったような感も。 大歩危小歩危おおぼけこぼけの川下りも昔の方が怖かったかも。ただし、かずら橋はやっぱり怖いです。 近くに出来た石の博物館「ラピス大歩危」はロシア人には大受けでした 。因みにこのあたりには子泣きじじいが棲んでいます。石の博物館入り口に、水木しげるさんの絵で日本の妖怪が紹介されています。   奥祖谷を通って香川に抜けて、道後温泉と金比羅さんを訪ねるのが今までのルートでした。 道後温泉ではヒノキのお風呂いっぱいにバラを浮かべてあって、女王様気分になれました。
  上記のお祭りめぐりのお客様、この夏も来日されます。 四国八十八ヶ所すべてを歩いて回りたい、と希望されているようで、 ロシア人お遍路さんたちが四国へ押しかける日も近いかも知れませんね。


(平井順子)
前の記事へ バックナンバーリストへ戻る 次の記事へ


トップページ

Copyright(C)2001 JFG All Rights Reserved.