東北でオジさんガイド奮闘中

幸運な出だし
2013年に通訳案内士試験(英語)に合格し、2014年から2015年前半までは情報収集、各種研修会参加や先輩ガイドについての見習いに専念。定年を機に2015年4月ガイドデビュー。

周囲の先輩ガイドやエージェントのご厚意、ご配慮により初年度から早速仕事をさせて頂いている。京都を含む関西地方や首都圏は、 春や秋の繁忙期にはガイドが不足するという現実がある一方で、地方在住者、特に新人には就業の機会は少ないと言われていたので、じっくり構えて行こうと考えていた。 ところが、予想に反して4月から就業機会に恵まれた。

「中尊寺旧覆堂にて」 2011年に登録された世界遺産の平泉が自宅近くにあり、中尊寺、毛越寺など年間を通して様々な団体、個人旅行客が訪れる。 東北大学のある仙台市や盛岡市での学術会議や業界団体の研修会のいわば息抜きのエクスカーションの対象として平泉が選定される事例、 また、企業の海外販売代理店の営業会議・工場見学のあとのインセンティブとしての訪問先になる事例、東南アジアの中・高生の修学旅行、 個人旅行(FIT, Free Independent Tour)の北海道〜東北地方への連続旅行の一こまとして平泉が選ばれるケース等である。この平泉をガイド実践のベースとしている。

業務内容の広がり
平泉ガイドを実践の基本としつつ、ガイドの対象・業務内容が拡がっている。
大型旅客船のオプショナルツアーのガイドで40人〜45人のお客様をバスでご案内する機会もある。 以前は、関東以西への寄港が圧倒的だったが、ここ1〜2年はこれに函館、小樽、苫小牧、網走等の北海道各地と青森、秋田への寄港が増えている。 時々、船のクルーがバスに同乗することがあるが、その時はビデオ撮影担当のクルーで、ツアーの様子をビデオ撮りしていた。 催行日前日のエージェントとの打合せでは、あまりガイディングがつたないと、旅客船からエージェントへクレームが入ることがあるとの話を聞いた後だったので、 お客様の反応・評価とは別にそのクルーの見る目に緊張した。幸い、気に入られたようで、ツアー後半のトイレ休憩時間に突然インタビューしたいとカメラを回される一幕があり、 更に緊張した。

「毛越寺経楼跡にて」 またあるときは、5〜7日間、2〜3人の個人小グループで東北各県をまたぐ旅行への随行・案内をすることもある。これらのお客様は、「日本通」で何度も日本に来ており、 首都圏、関西等の定番ルート、いわゆる「ゴールデンルート」とは別な日本を観たいということで、東北各地を訪問したいというもの。 また、日本人は毎日てんぷらや寿司を食べているわけではなく、庶民の日常食がある筈で、それはどんなものがあるか、その土地、その土地の習慣、風俗、 そのいわれに関心を持っている。直近では、東日本大震災の被災地を訪問するツアーがあった。 町で出会った人に被災経験をさりげなく尋ねたり、昔話を聞くことがあるが、お年寄り(自分ももうお年寄りの領域(笑))の言葉はだいたいがなまっている。 自分が地元の人間でよかったと思う瞬間である。数日同行するので、観光案内以外の話題が多くなる。話題の間口の広さや、お客様の国との比較、 個々の事象に対する個人の見解を求められる等、要求されることも多い。 サラリーマン時代に世界を飛び回っていた経験が活きる場面がある反面、訪問予定地の下見や、データ・文献による情報収集等一層努力が必要との感慨を抱いている。


(佐藤 道夫)

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