京都  時代祭

「ミスインターナショナル」 2008年の時代祭(104回目)、行列を待っていた沿道の人々から驚きの声が・・・。
都大路を進む時代行列の先頭を行くのは、まばゆいミス・インターナショナルの美女達!!
世界大会に参加する各国代表だったからです。 打診があった際、時代祭主催者である平安講社役員や専門家の意見は賛否両論で、否定的なものも多かったと聞きました。
「綿密な時代考証で知られる行列の権威が崩れる」、「水着で出られたら困る」、「60名もの代表達は目立ちすぎる」などなど。 しかし、観光振興、京都の活性化にプラスになるとの判断で、「列の外」に当たる先頭を、「民族衣装着用」で、 「20人ずつ交代で歩く」という条件で受け入れが決まりました。  この折り合いの付け方、伝統を守りつつ新風を取り入れてきた京都ならではですね。

毎年10月22日に行われる時代祭は、 平安神宮創建の1895年、都であった時代の風俗の変遷を表現しようと提案されました。 通訳案内士としては、「ただの仮装行列ではないのです。 京都が首都として千年以上培ってきた伝統工芸技術を披露するため、1万2千点にも及ぶ衣装や調度品、祭具の一つ一つを、 厳密な時代考証と研究を重ねて再現した動く歴史絵巻なのです!」 と厳かに説明します。

「婦人列」 毎年注目されるのは、江戸・中世・平安時代の華やかな婦人列。 五花街の芸妓さん、舞妓さん達が扮装して奉仕します。 なかでも、美女の誉れ高い小野小町や常盤御前、そして馬上の凛々しい巴御前は、観客から不満の声がもれないよう、さすがの配役です。 衣擦れの音や、衣装に見られる日本独特の繊細な色彩に、写真撮影が集中します。 この婦人列そして志士列は、戦後加えられたものですが、2007年、新たに加えられたのが、室町時代列。

足利尊氏は後醍醐天皇を吉野に追いやったために、市民に反感を持たれ、一昨年まで室町時代はなかったのです。 1998年、海外で初めて、時代行列がパリの街を巡行しました。 その際、フランスの学者から「なぜないのか」と指摘されたとか。  時と共に尊氏に対する評価も見直され、明治維新から平安時代まで、8つの時代を再現することとなったのでした。

「牛車」 総勢約2000人、牛馬70頭以上で構成される行列の全長は2キロ。京都御所から平安神宮までの4.5kmを2時間以上かけて進みます。 道中、大名行列の先頭で毛槍をあやつる奴の所作には、沿道から歓声が上ります。 一定の距離を歩くと止まって踊るパフォーマンス系は、三条通りから神宮道を曲がると平安神宮の鳥居が見え、 あと一息の気合が入るので、このあたりが、観覧の穴場かもしれません。

古都であると同時に、柔軟に革新的なアイデアを取り入れてきた京都。 これからの時代祭にも、さらなるサプライズが期待できそうです。

(写真:京都新聞提供)


(中村 三千子)
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