ショッピングの町として名高い大阪、流行先端のお店と伝統ある老舗が縦横に連なるミナミ・心斎橋筋商店街もすっかりお馴染みだが、
改装一周年を迎えたキタ・大阪駅周辺もまた、一大ショッピングゾーンとして大変な賑わいである。
「駅」と「街」が一つにというコンセプトのもと、大阪駅は大阪ステーションシティとして大きく生まれ変わった。
大丸、三越伊勢丹の二大百貨店、ファッションビル・ルクアなどは改札口から直結という便利さ、
シネマコンプレックス、スポーツジム、レストラン、ショップなど様々な施設もすべて駅ビル内に備わり、駅が一つの街のようである。
しかし、新しい大阪駅の魅力は商業施設の充実さもさることながら、今までにない広い空間を創り出したデザインの斬新さにあると思う。
駅の南側と北側の玄関にはそれぞれサウスゲートビルとノースゲートビルがそびえ、その間の高架に11本の線路が走る。
プラットホームの中央部を覆う巨大な鳥の羽のような片流れの大屋根(ドーム)は高いところで地上50mにもなり、
駅構内は地上8階まで吹き抜けという素晴らしい解放感である。
何よりも橋上駅舎の「時空(とき)の広場」は待ち合わせに恰好の場所だと思う。
背高のっぽでおしゃれなデザインの大きな金時計と銀時計、吹き抜けの天井にのびのびとしたフロア、
そしてしゃれたカフェまで揃っていて、素敵な街の広場のような空間。
それ以外にもステーションシティには「水」「緑」「時」「エコ」「情報」を共通テーマに、様々な特徴を持った個性ある8つの広場が設けられ、
それぞれの広場にはその個性を象徴する『時計』が設置されている。
3階の北インフォメーションに行くと「時計ツアー」と書かれたパンフレットをくれるので、
それを見ながら8か所の広場を回ってみるのは是非お勧めである。
『時計』は列車と駅とは切っても切れない関係、各広場にはそれぞれ趣向を凝らした時計があり、
パンフレットを見ながら宝探しのような気分で各広場の時計を探してみるのも楽しい。
都心のビルでありながら8つの広場のいたるところで「緑」に出会う。
駅利用者や都会で働く人々にとって、ホッと一息、憩いの空間、緑の周りにベンチもたくさん整備されている。
中でも珍しいのはノースゲートビル屋上の「天空の農園」。
14階からさらに140段の階段は自分の足で登らないといけないというアクセスのせいか、いつも人がまばらで、
そこが、あの大群衆が行きかう大阪のど真ん中のビルの上であることが信じられない、のどかさである。
お花畑のほかに大阪の地野菜や果樹、季節の作物も栽培されていて土のにおいを感じながら木のテーブルの前の椅子に腰かけ、
持参のお茶や軽食で農園の中でのティータイムだってできてしまう。
ノースゲート7階から10階まで一直線でつながる空中エスカレーターから見下ろす駅構内の風景も迫力がある。
いくつもの線路に電車、プラットホームで待つ人々、その上の「時空の広場」では待ち合わせの人や語らう人々、全体がパノラマとなって一目で見渡せる。
紙面の都合上語りつくせないが、大阪駅が今や「人混みばかりの駅」の印象を返上して「楽しめる駅」に変貌したことをお伝えしたい。
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