白川郷と郡上八幡研修レポート

白川郷の今

「白川郷」 山々に囲まれた日本有数の豪雪地帯白川郷。厳しい自然環境と共存し積雪の重みを耐えるため、急勾配・茅葺屋根の家屋が建てられた。 現在見られる合掌造りの建物は19世紀から20世紀初頭のもの。 日本の高度成長期、荘川流域はダム建設ラッシュで水没する集落や離村する村人が後をたたなかった。 合掌建築は現代社会の生活スタイルに合わず、取り壊されたり売られたりして1950年代初期300棟あった合掌も1960年代には190棟に激減。 危機感を覚えた地元の人々によって家屋・土地・山林を売らない貸さない壊さないという保存運動が始まった。 1976年に国の重要伝統的建造物群地区の指定を受け、1995年に世界文化遺産に登録された。 他の世界遺産と大きく異なるのは現在もなお人々がそこに住み生活していること。 世界遺産登録前、白川郷を訪れる観光客は年間60〜70万人程度だったが、登録後は140万〜150万人と倍増した。 文化財や合掌集落の景観を維持するのは困難も多く、特に屋根の葺き替えにはこの辺りで家一軒建つぐらいの経費(約2000万円)がかかる。 観光客の増加にともない様々な問題も発生。白川村の人口1900人(うち荻町600人)に対し、観光客は一日平均3000〜4000人。 このため交通渋滞やゴミ問題、し尿処理などの対策が迫られている。 特にトイレは数を増やし衛生の維持にも努力しているが、 観光客の急増に追い付かず役場に一番多い苦情はトイレが汚いことだそうである。
また近年台湾や韓国のメディアの取材も増えており、昨年は146万6千人の観光客のうち海外からの観光客は10万7千人、 そのうち8割は台湾からであった。
交通渋滞問題については現在、雪のない4月から11月の第三金・土曜日に観光車両を集落に入れない対策を取っている。 この月2回の車両規制は今後増やされる予定。

「結」の今

NHKで放送された2001年の長瀬家の屋根葺きは「結」で行われた。最近では2年前に食堂が「結」で屋根を葺き替えた。 「結」は村人による労働の貸し借りのようなものであるが、現代の社会生活では「結」を通した葺き替え作業への協力は、 合掌造りを持たない村人に対しては頼みにくいという事情がある。このため「結」を通さず業者に任せるケースも出てきた。 「結」という制度を守るため合掌造りを持っている村人の間で「現代結」という組織をつくり、 以前ならば村人総出で1日で葺き替えていた作業を何日かに分けて分担するなど、 現代生活にあった方法で「結」を維持する取り組みを始めた。

清流と郡上おどりで知られる城下町、郡上八幡

『郡上八幡博覧館』(午前9時〜午後5時)@500円 пi0575)65−3215
館内は専属ガイドによる案内あり。おどりコーナーでは郡上おどりの実演も。
「郡上踊り」 郡上おどりは日本三大民踊の一つ。毎年7月中旬から9月初旬までの33日間、毎夜8時頃から11時頃まで町内各地で踊られる。 参加型が特徴で、この時期人口1万6千人の郡上を訪れる人は22万人に達する。 特に8月13日から16日の4日間は翌朝4時頃まで徹夜で踊りあかされる徹夜踊りが有名。 また踊りの上手な人には保存会から免状を贈られる。

『食品サンプル創作館さんぷる工房』(午前9時〜午後5時)入館無料 体験@1000円 пi0575)67−1870
「サンプル工房」 郡上八幡は食品サンプル発祥の地。食品サンプル事業を始めた岩崎滝三氏は郡上八幡出身。 戦後日本の外食産業の伸びに伴い食品サンプル事業も発展。 当初のサンプルはロウ細工で作られていたが、現在は材料がアクリル、ウレタン、シリコンなどに代わっている。 サンプルは受注生産で一品ずつ手作りされている。
さんぷる工房ではエビの天ぷらやレタス作りが体験でき、観光客の人気を呼んでいる。


(松井真理子)
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