私は北海道で通訳ガイドをしています。と、言いつつ北海道に来てまだ1年。この土地は私にカルチャーショックを与え続けてくれます。
今回は仕事を通じて自分なりに感じた本州との違いについて述べてみたいと思います。
1.北海道はデッカイ道!
私は通訳ガイド以外の仕事でも時々バスに乗ります。バスガイドさんがよく言います。「北海道はね、九州2個分ですよー!」なるほど。
急な依頼や変更のため、本番で初めての場所に行くこともあります。
こんな事情ですので、バスガイドさんの説明にどのお客様よりも深くうなずいてしまいます。
自分が外国人のお客様に説明するときは「国土の22%」と表現しますが、
日本人にとっては「九州2個分」が非常に迫力のある数字に響いてきませんか。
広い北海道、お天気や気温にも地域差があります。
昼夜の気温差が大きい(これが美味しいメロンやじゃがいもを育ててくれます)のも特徴的です。
冬は天気予報もあてになりませんが、その日の行程に合わせて、時間ごとの訪問地の気象状況を把握しておくと便利です。
たとえ移動に長時間かかっても、視界いっぱいに広がるお花畑、牧草地、蒼い湖、噴煙を上げる火山、雪景色、
そして各地に湧き出る温泉は、お客様に大きな感動と深い安らぎをもたらしてくれます。
2.外国のような北海道!
初めて北海道に来たとき、全ての建物が西洋風で新しく思えました。
開拓後の歴史が短いので、築140年を超えるような伝統的な建物や将軍ゆかりの建物は見当たらず、
日本庭園や神社仏閣をご案内する機会は本州に比べて格段に少ないです。
むしろ明治時代の洋式や和洋折衷建築物が多いため、本州でのガイディングのイメージと少し違うかも知れません。
雪国独特の暮らしも新鮮に映ります。瓦を使わない三角屋根の家が多いのは、積雪時の危険防止だそうです。
また雪で建物の壁が傷むので、壁は薄い黄緑、黄色、ピンク色などでこまめに塗り替えられているようです。
信号機は雪の重みに耐えられるように縦型です。
厳しい気象条件で運転するドライバーさんには参加者全員からの尊敬のまなざしが注がれます。
アイヌのお話も定番です。アメリカン・インディアンを思い出される方も多く、
アイヌの風習、特にイヨマンテ(クマ送りの儀式)や女性の入れ墨の説明は興味深いようです。
道路を走っていると鹿やきつねを描いた「動物注意」の標識も目に入ります。
津軽海峡を東西に横切るブラキストン線によって本州とは動植物の分布が異なります。
動物の話題は年齢を問わずに盛り上がりますし、運と場所が良ければ野生動物やその足跡に出会えます。
北海道のお話はいかがでしたか?冒頭で未だにカルチャーショックを受けると書きましたが、
魚介類の味だけはついに日常になってしまいました。しかし、お客様は新たな気持ちでやってきます。
もしかすると一生に一度の北海道旅行かも知れません。そうとなれば、お客様が見るもの、触るもの、
食べるものがどれだけ貴重で素晴らしい存在であるのかを丁寧にお伝えしていかなければもったいない。
北海道のビギナーだからこそ共感できる「美味しい!」「楽しい!」「びっくり!」を、お客様と分かち合いたいと願っています。
どのお客様も北海道でワクワクした時間をお過ごしになれますように。
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