「英語落語、活かしています!」
「英語落語の酒井さんですね」そういう風に声をかけていただけることがあります。そんな時、英語落語を続けていて良かったとつくづく思います。
私が英語落語を始めたのは今から約3年前、通訳案内士試験に合格した頃で、桂かい枝さんというプロの噺家の英語落語会に行ったことがきっかけでした。英語&落語の組み合わせは日本の伝統文化を外国の方に伝える仕事と共通点がありそう、そして何より面白そうだと思って足を運んだのです。実際、プロの圧倒的な迫力のパフォーマンスにすっかり魅了されてしまいました。間もなく自分でも英語落語を練習するようになり、英語落語発表会にこれまで3回出演しました。
当初、単に面白そうと思って始めた英語落語ですが、3つの点で通訳案内士の仕事に大いに役立っています。
そのひとつは、プレゼンテーション力の向上です。落語はほとんどの場合古典や新作等、ある程度決められたストーリーを噺家の個性で演じています。ストーリーの展開、表情、声の出し方、間の取り方。単に話を暗記して語るだけではなく、どうやって演じ、観衆を楽しませ、感動してもらえるのか。これはまさに通訳案内士のガイディングでも同じだと思います。落語を語るうえで、特に“間”というものが重要になります。同じ言葉でも少し溜めをつくってから話す、あるいは間髪いれずに話すなど、間の取り方ひとつで観衆の反応が違ってきます。私の経験では、この落語を演じる訓練は確実に自分のガイディング、プレゼンテーション力アップに役立っていると思います。話にメリハリがつくようになり、また、言葉だけではなく、表情や体全体で表現することも自然と自分の個性として身についてきたようにも思います。
次に、英語落語をやっていて良かったと思えることは、色々な方に覚えていただけるということです。いわば自分のひとつの“売り”になっています。通訳案内士の仕事関係の方々やその他の分野の方に、英語落語の酒井と覚えていただけた。その人脈は私の財産です。
最後に、やはり落語を仕事の中に取り入れられるという利点があると思います。落語を披露することは時間の関係もありなかなかできませんが、小噺や落語の中のジョークをちょっと披露することは可能です。私は自分が演じたことのある「ワンダフルジャパン」という落語の中のフレーズを取り入れて使うことがよくあります。例えば、「日本語で“Thank you”は、“ありがとう”ですが、思い出せなければAlligatorと言ってください。日本人には“ありがとう”と聞こえるかも。でもCrocodileと間違わないで!」とか、「“どういたしまして”は、“Don’t touch my mustache”と早口で言えば、大丈夫です。」など。
これは結構受けることが多いです。今後は、渋滞に巻き込まれた時などに、英語落語を上手く披露できたらいいなと思っています。
ほとんど偶然から始めた英語落語ですが、今では私の通訳案内士の仕事に欠かせないものになっています。
英語落語さん、Alligator!お後がよろしいようで。
(酒井 かおり)