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徳川美術館

国内唯一のまとまった大名コレクションで有名な名古屋市の「徳川美術館」。当館企画情報部部長小池富雄氏に「いかにして、外国人に日本人の感性、伝統文化を理解してもらうか」についてお話し頂いた。その上で、徳川美術館の重要性を学んだ。

徳川園(西湖堤)
徳川美術館概要
徳川御三家筆頭 尾張徳川家に伝えられた大名道具を展示公開している私立の美術館。昭和10年(1935年)開館。尾張徳川家十九代 侯爵徳川義親氏の寄付により創設された「公益財団法人 徳川黎明会」が運営にあたっている。
収蔵品は、1万数千点。国宝9件、重要文化財59件、重要美術品49件。源氏物語絵巻、千代姫の初音の調度は、特に有名である。徳川家康の遺品、歴代藩主蒐集品、夫人の婚礼持参品、他の徳川家、大名家の品など、維新、大戦を運良くくぐり抜けた貴重な美術品、工芸品を所蔵している。
「大名道具とは何か」「近世大名とは何か」の問いかけに応えられる国内唯一の美術館である。尾張徳川家の貴重な書物を伝える蓬左文庫、池泉回遊式大名庭園を再現した徳川園(市営)を併設している。

日本文化を伝える事の難しさ
日本文化のバックグラウンドを持っていない人に「日本の伝統文化」「日本人の感性」を伝える事は非常に難しい。美術品の名前自体にも季節感、感性が反映されており、単なる言葉の翻訳では、深い意味を伝える事は出来ない。日本美術を見てもらう事で、「日本人の価値観」を伝え、感じてもらう事が大切である。海外の人にも理解してもらえる。

日本文化
今の日本文化は、「1000年前の平安貴族文化」と「500年前の武家文化」により成り立っている。平安貴族文化は、日本の基礎文化であり、繊細な表現、日本人のセンス、美意識は、ここで築かれた。代表は、「源氏物語」である。武家文化は、大名の生活、武家の生活を基礎に形作られ、500年以上にわたり築かれてきた日本人の感性の基である。どこまで客人を通すかに表される「表と奥」という日本人独特の考え方は、この武家文化によるものである。

徳川美術館では、何を見る事ができるのか。
日本文化の二本柱の「平安貴族文化と武家文化」。源氏物語絵巻、初音の調度に代表される平安貴族文化と、大名道具に代表される武家文化の両方にふれる事ができる。茶室、書院、能舞台等、名古屋城二の丸御殿内の大名の生活が部分的に再現展示されており、どの様な物が、どの様に置かれ使用されたか実際に見ることができる。武家の生活をより直接的に見てもらう事で、日本文化への理解が深まるよう工夫がされている。

正門から黒門を見る
今後の取り組み
運良く残った文化財、守り抜いた芸術品を世界に発信する事により、「日本人の感性、日本への理解」を広めたい。それには、日本文化を説明できる人の数を増やしたい。日本美術を見てもらう事で、「日本人の価値観」は、世界の人にも理解頂ける。その意味で、美術館の果たす役割は、大きい。

徳川美術館ホームページ https://www.tokugawa-art-museum.jp/

(高野 尚子)

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