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鬼無の盆栽について

盆栽通り
JR予讃線「鬼無駅」近くに盆栽通りと呼ばれる、盆栽農家が集まった通りがある。鬼無の松の盆栽づくりは200年の歴史があり、瀬戸内海に自然に生える松を実生で育てるのが特徴。年間を通じて気温差が少なく、日照時間が長く雨が少ないという瀬戸内式気候が適していたものと思われる。土は水はけがよく、根腐れしない。九割が黒松で、一割が錦と五葉松。
盆栽通りの「神高(かんだか)松寿園」で、鬼無植木盆栽センター組合長でもある神高恵二さんのお話を伺った。一般個人客はEUかUSAからが多く、この辺を歩いてぶらぶらと盆栽園巡りをする外国人は多い。バイヤーが多いのは中国と台湾。輸出は規制が厳しく、登録後2年間ここで管理したものでないと輸出できない。アメリカだと3年で、さらにネットハウスの中で管理したものでなければならない。国によって好まれるものは違う。ヨーロッパ人は東洋的なもの、神秘的なものを好む。彼らはよく勉強しているので、いい盆栽とはどんな盆栽かという日本の価値観を理解している。日本人は、大きなものを小さくまとめるのをいいとしているが、中国人は大陸的なのか、大きいものを好む。大きな昇り龍など大変好まれる。また、景気がいいと大型がよく売れて、景気が悪くなると小型になるという傾向もある。バブルのころは、本当に大きかった。
黒松、赤松、錦松、五葉松があるが、黒、赤はその幹の色で分かる。錦松は樹皮が割れる。五葉松は柔らかい葉が5本ずつ生えている。盆栽の8割は幹で決まる。元が太くて、上に行くほど細くなるのがいい。盆栽の正面は、幹が見える方。幹に動きのある方が価値がある。真っ直ぐはだめ。根はその張り様を見せる。根が土をグッとつかんでいるように見えるのがいい。松は葉っぱが短いほどいい。木が大きく見える。葉の長さは調節できる。6月に芽を元から切る。するとその周りから二番芽(脇芽)が3つ4つ出てくる。これを伸ばすと短い葉になる。一番芽は15cmぐらいに長くなる。陰になっているところが傷んでくるので、太陽の光が全体に当たるように鉢を回す。土が乾いたら水をやる。湿っているのに水をやる必要はない。ワイヤーは昔は鉄だったが今はアルミ。ワイヤーをかけて1年ほどで形が決まっても、1年経つとまた形が崩れるので、メンテナンスは常に必要。黒松は芽切さえしておけば、そんなに姿は崩れない。手入れの仕方は関東と関西で昔は違いがあったが、今はない。修行で両地域を行き来している。昔は栄養失調気味に育てたが、今は固形油粕などの肥料もやる。松くい虫は背の高い木にしか来ないので、盆栽には来ない。地面に直に植える植木にはそれぞれの土地の風土に合わせた手入れがあるが、一般的に京都では細かい手入れをし、香川では荒い手入れをする。荒いほうが木は元気になる。

盆栽の手入れ
盆栽の飾り方について。基本は飾り棚や床の間に飾り、「添え」として山野の草花を引き立て役として、また季節を感じさせるものとして一緒に飾る。あるいは置物でもいい。盆栽がモミジなら鹿の置物、盆栽が滝ならサワガニの置物など。
組合加入は72軒。東日本大震災の後、組合から陸前高田の仮設住宅に盆栽を贈った。先日また訪れ、手入れの講習会をした。盆栽にも競り市があり、鬼無植木盆栽センター市場で毎月5のつく日の9時過ぎから開催。

(平井 順子)

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