新人ガイドの情報収集術
それまで勤めていた会社を辞め、ガイドとしてデビューしたのが2014年4月のことです。ちょうどオリンピック開催が決まり、インバウンド業界が上向きになってきた時期で、新人で経験値が無いにもかかわらず、おかげ様ですぐにいろいろなお仕事をいただくことができました。
先輩方からは「良い時期にデビューしたね」と言っていただきましたが、同時に新人の自分には分不相応な仕事も多くあり、「仕事はあるけれど中身がともなっていない」という時期が長く続き、焦ったり落ち込んだりという毎日を送りました。
「経験値」は経験を積まないと得られないものなので焦っても仕方がありませんが、それではどうしたら「知識」や「引き出し」の数を増やしていけるのかを模索しました。
私は難しい本を読むとすぐに眠たくなってしまうので(お恥ずかしい限りです…)、もっぱらテレビから情報を得ることが多いです。最近、昨今のインバウンドブームのおかげもあり、「訪日外国人」や「日本を知る」といったテーマのさまざまなテレビ番組があります。朝夕のニュース番組の特集コーナーなども含めると、そういった話題を取り扱っていない日はないほどです。
そのようなテレビ番組から情報を得ることの利点の一つは、原則として年齢層や知識量の差が幅広い視聴者向けに「誰にでも」分かりやすく情報をまとめてあることです。かつ、そういった情報や説明をフリップや大きなボードなどで図解説明していることが多く、視覚的にもとても理解しやすいことが多いです。そのような場合にはすぐに写真に撮り、それを後から仕事で使えるように文章化します。
具体的な例を一つ挙げますと、天皇陛下の生前退位の話題の際、「海外王室との比較 2015年公務の件数」というボード説明をしていた番組があり、大変勉強になりましたし、その後の仕事でもとても役立ちました。一見「この話知っているな」と思う話題でもアナウンサーの説明の仕方や話の運び方をガイド目線で見るだけでも得るものはとても多いです。
その他の情報源はフェイスブックやツイッターなどのSNSでしょうか。フェイスブックで繋がっている同業の先輩や仲間の書き込みは、いつもとても勉強になります。美味しかったお店、お客様が喜んだ場所、その土地の天気、トラブルで困ったことなど仕事にまつわることを書かれる方が多いので、今度このお店に下見に行ってみよう、次にこの土地に行ったらここにも寄ってみようと自分では知らなかったことの幅を増やしてくれる貴重な情報源となっています。
ツイッターは、私は主に観光に関するページをフォローしていますが、そうすることで今この場所でこういうことをやっているといった情報を入手することができ、便利です。これは上記のフェイスブックについても言えることですが、自分が何か調べたいときにはインターネットなどでいくらでも情報を入手できますが、自分のアンテナにそもそも引っかかっていない情報が飛び込んでくるというのがSNSの魅力だと思います。
また、SNSの各観光施設のページをフォローしておくことで悪天候の際の運休情報などがタイムリーに入手できるという直接仕事に役立つ利点もあります。
今は情報が溢れ、その取捨選択が難しいと言われている時代ですが、選択肢が増えたこと自体はありがたいことだと感じています。そう思いながら日進月歩の新しいツールとも悪戦苦闘している毎日です…。
(八重樫 礼子)