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豊田佐吉記念館とロックフィールド静岡ファクトリー

2006年1月24日、トヨタ自動車関連の博物館の一つである「豊田佐吉記念館」と、安藤忠雄氏が建築設計した「ロックフィールド静岡工場」を見学した。

豊田佐吉記念館 (所在地:静岡県湖西市山口113-2)
豊田佐吉生家
1988年に開館した豊田佐吉記念館は、トヨタ関連施設の博物館では唯一愛知県外にある。展示物を通してトヨタの歴史を知るのではなく、トヨタ自動車の創設者・豊田喜一郎の父親・豊田佐吉の生家を見学することで、発明王・佐吉がどのようにして生きたかを知ることができた。

そこにはトヨタのルーツがあり、長男の喜一郎もそこで生まれ育っている。凧揚げの紐を引っ張ると、凧が逆に自分の紐を引っ張る力をヒントに発明した佐吉の第一号の発明品「豊田式人力織機」をはじめ、「糸繰返機」「木鉄混製動力織機」「G型自動織機」が展示されている。

佐吉は1924年に完成させた「G型自動織機」を1929年に、当時世界をリードしていたイギリスのプラット社に特許権10万ポンド(現在の日本貨幣価値に換算して100億円)で売ったのだが、そのお金すべてを自動車作りの研究費にと喜一郎に渡したのだった。その一年後に佐吉はこの世を去っている。トヨタ関連の業務をされる方は、一度は訪れたい場所だと思う。

ロックフィールド静岡工場 (所在地:静岡県磐田市下野部2280)
静岡県の浜松市中心街から約40キロ東北にある惣菜工場である。最近、日本人だけでなく外国人観光客からも注目を浴びている「デパ地下」の食品売り場だが、ロックフィールド工場で作られている製品はその中でも人気の商品である。デパートや駅構内で、「ベジタリア」「三日坊主」「神戸コロッケ」「RF1」などの店名で売り出している。食品工場だけに、中に入ると環境、衛生面の説明に力が入れられていた。
工場敷地内にある3基の風力発電装置やビオトープにも説得力があった。驚いたことに、食品工場でありながらトヨタ自動車が世界に広めたジャストインタイム方式やカンバン方式を実施しており、あらゆる無駄を省く企業努力が実践されていた。また、できるだけ機械に頼らず人間の目と手による高品質で安全な商品を売り出す努力がされていたことには感心した。

ロックフィールド工場風景
工場全体が安藤氏の設計によるものという視点で建物を観察した。社員食堂の光の採り方、いたるところにある緑の演出、コンクリートの打ちっぱなしで幾何学的なフォルムによる独自の建築表現、工場の玄関に通じるスペースの使い方、階段を使わずスロープになっている回廊など、普通の工場には見られない風景がそこにはあった。公共交通機関が十分でない立地に工場を建てた理由は、安くてきれいな水が手にはいること、そして日本のほぼ中心に位置するため、配送の利便性がよいということだった。

(深見 澄子)

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