JFG新合格者研修に参加して
通訳ガイドの新合格者研修に四つ参加して、嵐のような1~2月が終わりました。四つの研修は別々の三団体によって主催され、それぞれ内容も雰囲気もずいぶん違っていましたが、私にとって最も刺激となり、勉強になったのは、何と言ってもJFGの二つの研修(関東と関西)でした。限られた時間の中でできるだけたくさんの知識と経験を伝授しようとしてくださるベテランガイドさんたちの熱意、その限られた時間を最大限有効に活用するための徹底したスケジュール管理、そしてさまざまな語学のガイドライセンスを手にした、希望と不安に満ちた参加 者たち ― ここから生まれる熱気と活気と緊張感の中で、非常に密度の濃い時間を過ごし、貴重な経験と友人たちを得ることができました。収穫は書き尽くせないほどありますが、ふたつほど拾ってみたいと思います。
最大の収穫はやはり、ガイド業務に対する具体的なイメージがつかめたことでした。研修の冒頭、「語学が好きで、旅が好きで、人が好きで、世話好き」だけではガイドは務まらないのです!と聞かされ、続いてガイドの心構えや求められるものなどを耳にするうち、こんなことが自分にできるのだろうかと不安に駆られましたが、次々に登場なさる先輩方が、皆さん生き生きと楽しそうにガイドの仕事を語るのを伺い、また実際にバスに乗ってそのお仕事振りを拝見するにつれ、おそろしく大変そうだけど、ものすごく楽しそうな仕事だという実感が 湧いてきました。またセミナーでは、履歴書の書き方・名刺の作り方・エージェント回りについてや、いただいた仕事の準備の仕方、収入や税金のことなど、こと細かに説明があり、また参加者からのさまざまな質問にも先輩方が代わる代わる、親身になって答えてくださって、本当に勉強になりました。
もうひとつの大きな収穫は、すばらしいガイドさんたちと時間を共有できたことです。研修二日目にはすでに参加者全員の顔と名前を覚えて「おはようございます、xxさん」と声をかけてくださったスペイン語の大先輩。東京中の建物の、名前も高さも建築年もご存知なのではないかと思う、生き字引のような英語の大先輩。一度お目にかかったら忘れられない、愉快で温かなキャラクターの、中国語の大ベテランの方などなど、ガイドとしてはもちろん、社会人としても日本人としても見習いたいと思うような方たちばかりでした。
幸いにも初仕事をいただき、現在準備の真っ最中ですが、あれこれ資料を集めても、結局いちばん頼りになるのは研修のテキストとノートです。バスの中や歩きながらも取り続けたミミズ字のメモのありがたみを今、ひしひしと感じています。五日間で四万円の研修費用はちょっと高いかなぁと参加前は思いましたが、一日八時間として、一時間あたり千円。この値段で先輩方の長年の汗と涙の結晶をあれだけ分けていただければ、けっして高くは ないと今は思っています。
それにしてもなぜ、JFG研修にはあれほどの熱気と活気と緊張感があるのでしょうか。それはやはりJFGの皆さんの、ガイドという仕事に対する誇りと愛情、そして後に続く人のために道を拓きたいという熱い思いのなせる技だと思います。研修前には自分がガイドになりたいのかどうか半信半疑でしたが、JFG研修に参加してすっかりその気になってしまいました。これからも刺激をいただく機会を楽しみにしています。どうもありがとうございました。
(緒車 奈穂子)