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理事会報告

2014年は円安効果もあって訪日観光客数が毎月史上最高の記録を更新しています。私たちの活動の機会も増え、JFGへの注文も春から秋にかけて間断なく続き、おかげで就業斡旋総日数も半期で前年一年間の89%を達成しました。また新入会者数も順調に伸びたため、2014年のJFGの財政状態は震災前の状態に戻ると予測しています。JFGは一般企業とは異なり、その活動で得た利益はすべて組合員のために使っているため、理事会ではすでに今年の利益をどのように還元するかの討議を始めています。各種研修会の研修費の組合員負担のさらなる減額や委員会活動などの手当てを震災前の水準に戻すことなども検討しています。

我々の就業機会も増え、JFGの財政も正常化したことは喜ばしいことなのですが、困ったこともあります。訪日観光客2000万人を目標にして、政府は相変わらず「通訳ガイドが不足している!」との思い込みを変えることなく、通訳案内士法の規制緩和の方針を強化してきました。まず2月には経済産業省が中心市街地活性化法を改正して自治体独自の通訳案内士を養成できるように改正法案を国会に提出するとの情報が入りました。これに対しJFG理事会は即座に全国の通訳案内士団体に連絡を取り、16団体の賛同を得て国会議員請願を行いました。理事会だけでなくメルマガなどで呼びかけた結果多くの組合員が地域の国会議員に陳情を行い、その結果、衆参両院で法案に「語学能力や基本的な日本社会・文化に対する理解等の水準を十分確保すること」、「地域における通訳案内士に対するニーズにも考慮しつつ国家試験に合格した通訳案内士の活用がはかられるよう指導すること」という附帯決議を付けてもらうことに成功しました。同時に訪日観光客に誤解を与える「通訳案内士」あるいは「通訳ガイド」という名称の不使用を訴え、「中心市街地特例ガイド」との名称にしてもらいました。

この運動が一段落した途端、今度は自民党が「構造改革特区通訳案内士」の設立を盛り込んだ法案を提出するとの情報が入り、9月には安倍首相自らが所信表明演説で「地方創生のため外国語を駆使しながら名所旧跡の案内ができる人材を、自治体の努力で育成できるよう、特区制度を活用して規制を緩和する」と明言しました。これに対して理事会は、再度他団体にも協力を呼びかけ全国16団体の請願代表として「地方創生のための国家資格の通訳案内士の積極的活用」を訴える要望・提案書を総理大臣、国土交通大臣、内閣府、地方創生大臣に提出しました。

「地域限定通訳案内士」、「地域活性化総合特区通訳案内士」、「中心市街地特例ガイド」とすでに同じような主旨の有償ガイド制度があり、更に今「構造改革特区通訳案内士」を加えようとしているのですが、地域限定通訳案内士は試験自体を中止した自治体がほとんどで活用されておらず、総合特区ガイドも九州、熊野、沖縄などで研修が終わり登録者も出ていますが、その活用状況もはっきり証明されていないまま同様の資格を増やすことに大いなる疑問を感じています。

オリンピックを控えて、これからも規制緩和による簡便な有償ガイド資格を作ろうとの動きは続くと予測されます。どのような時代にあっても優秀な通訳案内士はお客様に選ばれて生き残っていくことは間違いありませんが、これまで就業の機会がなくあきらめていた有資格者や新しく参入する次世代の仲間たちのためにも、粘り強く通訳案内士の声を伝えていくことがJFG理事会の使命だと信じて活動しています。

(松本 美江)

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