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通訳案内士とマスコミ報道

去年の7月頃からいわゆる「ヤミガイド」をめぐるマスコミ報道が立て続けになされ、これまでとは違う風が吹いてきたようだと感じています。最初JFGの組合員を通じて、TBSの情報番組「Nスタ」からの電話取材を受けてから次々とマスコミからのコンタクトがあり、理事会の担当者が取材を受け、実際の報道に結びついたものもあります。

ここへ来てマスコミがこぞってこの問題に関心を持ち始めた背景には、国の行なう中国・韓国に重点を置いた観光客誘致の諸政策や、2020年の東京五輪開催決定などがもたらした外国人観光客の急増という目に見えやすい現象が顕著になったことがあるでしょう。特に秋葉原や銀座では大型バスで店に乗りつけ、爆買いしていく中国人観光客の買い物風景はそれ自体インパクトがあります。以前は「ヤミガイド」とリンクさせた報道はほとんどありませんでしたが、中国人観光客のマナーの悪さが目に余るようになり、また免税店ばかりに連れて行かれてボッタクリが横行しているという不満が高まるにつれ、その責任を問う形で彼らにアテンドする「ヤミガイド」問題にマスコミの目が向くようになったと考えられます。

しかしこうした報道にも手放しで喜ぶことは出来ません。マスコミの報道というのは往々にして一面的になりすぎて、特にTVでは「面白い絵とストーリー」を欲する余り、私達が本当に訴えたい問題の本質が隠れてしまうことがあります。今回のTV報道でも爆買いする中国人観光客のマナーの悪さと、それを許し、また彼らを強引に免税店に連れて行くといった「ヤミガイド」のあくどさ(もちろん「ヤミガイド」の存在自体が違法なのですが)を糾弾するというストーリーが始めから用意され、それにそぐわないコメントはほとんど採用されませんでした。

こうした「ヤミガイド」がなぜここまで増えてしまったのか、その背景には特に中国語と韓国語で正規の通訳案内士がこれまで有効活用されてこなかったことがまず挙げられます。旅行会社はコストを下げたいがために正規の通訳案内士を雇いたがらなかったこと、それゆえ試験に合格しても仕事が無く、生計を立てられずに廃業していった通訳案内士も多いこと、通訳案内士法の「ヤミガイド」を取り締まる条項も雇用(使用)者への罰則規定の無いザル法であること、これらは構造的な問題で、真の観光立国を目指すならこの問題を国が放置し続ければ国益を損なう恐れもあることなど、私達が本当に訴えたいもっと本質的な問題はなかなか伝わりません。

とはいえ、今回の一連のマスコミ報道によって「通訳案内士」という存在を社会にアピールできたことは大きな前進でした。旅行会社などから報酬を得て外国人を案内するには「通訳案内士」という国家資格が必要であり、その資格を持たない「ヤミガイド」は明らかに法律違反であることがはっきりと報道された点は今までにない成果だったと言えます。

それに東京五輪を控えて国中が真の「おもてなし」は何かを模索している今、このような報道ラッシュはその主役である「通訳案内士」の重要性を訴えることが出来る大きなチャンスでもあります。

今回の報道が一過性に終わることなく、また、マスコミにももっと問題の本質をついた報道をしてもらうべくJFGは今後もコンタクトをとり、協力していきたいと思います。

(黒崎 豊子)

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