博多トリビア
2011年にリニューアルした博多駅ですが、博多駅周辺には昔ながらの鍛冶屋、町家、そして由緒ある寺社が多く点在しております。 博多駅から5分ほど歩くと、東長寺の美しい朱色の五重の塔が見えてきます。ここ東長寺には高さ10.8m、重さ30トンある日本最大級の木造坐像が鎮座しています。 建立の際に住職が「あなたがおみくじで数少ない凶を引いたら大仏を建てます。」と仏師に言ったことから実現したものです。本堂、五重の塔は拝観無料です。大仏殿、胎内地獄巡りは拝観料50円(撮影禁止)。
東長寺を出て左に曲がると宋の商人、謝国明が円爾(後の聖一国師)を迎えて建てた博多祇園山笠発祥の地、承天寺があります。山笠とは、聖一国師が施餓鬼台に乗って町を回り、疫病退散を祈りながら水をまいたのが起源です。また、饂飩、饅頭の発祥の地でもあります。承天寺は開創750年(1992年)を機に山門、諸堂、庭の再建を行いました。
方丈の前庭は「洗濤庭」(波が洗う庭)と命名され、京都の竜安寺の石庭に劣らない白砂の庭です。承天寺は博多織の発祥の地としても知られています。鎌倉時代に承天寺の聖一国師と共に宋に渡った満田弥左衛門が広東織や緞子織などの織物技術を学び、博多に持ち帰ったことから博多織発祥の地と言われるようになりました。毎年11月には博多織求評会が承天寺で行なわれています。その時に日本三大美人に数えられる博多美人、博多芸妓の踊りが披露されます。
また、和服を着て承天寺に来た人には、博多織の財布、名刺入れ、根付けなどが配られます。太っ腹な求評会です。入場無料。秋のイベント「博多千年煌夜」で照らされた庭も幻想的です。
博多っ子からは「お櫛田さん」の愛称で親しまれている博多の総鎮守、櫛田神社も東長寺から5分以内の距離です。正面の拝殿破風の左右の風神雷神をよく見て下さい。風神があっかんべーをしています。
新幹線、在来線、地下鉄合わせて1日約30万人が利用する巨大都市空間から僅か5分の地に800年の歴史、文化が息づく博多。また、近辺にテレビ番組「孤独のグルメ」にも紹介された「みやけうどん」もあります。新幹線の出発まで時間があったら是非散策してみませんか。
(谷口 晶子)