酒造訪問
今回の研修会では、JR姫路駅から2駅ほど先の網干駅から徒歩4分ほどにある本田商店酒造を訪れ、お酒に関する 様々な興味深いお話をお伺いすることができました。
日本酒の歴史
日本酒は、ワインのように自然にできたものではなく、人間がつくりあげたもので、その背景には、興味深い 歴史があります。
日本人の先祖が、当初より米からできた酒を飲んでいたわけではありません。縄文時代には、山葡萄のワインを 飲んでいました。壷に葡萄を入れて作っていたようです。縄文土器に、山葡萄の種が発見されていますが、それは ワインを飲んでいた証拠です。
やがて、人間は甘いものが酒になることに気づきました。稲作の伝来から農耕民族になった日本人は、米をかむと 甘くなることを知りました。唾液がブドウ糖を澱粉にかえるのです。そして、人間は噛んで甘くなった米を壷へ 入れるようになり、それが口噛みの酒の原型となって人為的にできる酒がはじまったのです(吟醸酒の醸という 字は「かもす」と読み、「噛む」に由来。また酉偏は壷の象形文字)。しかし、口で噛むのは大変です。
そこで、人間はまたすばらしい発見をするのです。蒸した米はカビが生えやすいこと、黄カビは米を噛んでいる 時と同じ味がすることに気づきました。これが麹カビの発見です。こうして澱粉をブドウ糖に分解する麹菌が できました。そのできたブドウ糖を炭酸ガスとアルコールに分解するのが酵母菌です。
おいしい日本酒の改良
現在の日本酒は、日本人が白米を食べはじめた江戸時代中期から飲まれています。それまでは、玄米の酒で、精米の酒がその後できました。
酒は精米によっておいしくなるのですが、理由は米の表面に蛋白質や脂肪があり、それらが分解すると香りが悪く なるからです。それでも江戸時代の酒は香りが悪く、匂いをとばすように外に広がった酒づきで飲まれていたようです。
当時の酒は、精米が悪かったから臭かったのであり、今は米が余っているため、どんどん米の表面を削りおいしい ものを作っています。大吟醸などは米の半分以上を削り、味をフルーティに仕上げています(精米具合と臭みは比例する)。
江戸時代の後半からより良い酒造りのための技術が開発されました。今では山田錦という米が酒造好適米とみな されています。この米は長年の品種改良によってできた米で、過去60年間、最高の酒造りのための米としての 歴史をもっています。ちなみに、金賞受賞の酒の97%がこの米からできています。
株式会社 本田商店
連絡先 0792-73-0151
http://www.taturiki.com/
(吉田 淳子)