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2002年度 JFG 新人研修会(関東)レポート

JFGの活動は、今年も関東地区の新合格者研修会で幕をあけました。
開催日は1月11、12、13、18、19日、例年どおり受講しやすいように週末と祝日を組み合わせた5日間でした。今年は通訳ガイド試験の合格者が前年より2割以上も減ったため、受講者も減るのではと危惧していましたが、 嬉しいことに今年も定員を超える申込みをいただきました。

研修第1日目は、江戸東京博物館の会議室でのセミナーで始まりました。
JFG理事長の挨拶の後、今ではこの研修会の名物になっている「ガイドの基礎知識」の講義がありました。ボランティアとは全く違うプロのガイドとしての役割と責任についての話に、ガイド試験合格で浮き立っていた受講者の表情がいっきに引き締まるのがわかりました。

2002年度新人研修(関東) バス
午後からは、いよいよバスを使っての成田国際空港の見学です。簡単そうに見える空港送迎業務の意外な複雑さに、空港送迎くらいならすぐにでも出来るかも、と思っていた受講生は驚いたかもしれません。
JFGの研修会講師は、全員生え抜きの人気と実力の備わった現役のガイドばかりです。その人たちが、仕事では何回となく行っている成田空港に、この研修のためにもう一度足を運んで下見をし、どうしたらこの複雑な送迎業務を説明できるかに工夫を重ねて臨んでくれました。一流のガイドと呼ばれるには、こうした誠実な努力が必要なのだと改めて感じました。

バス研修 東京
2日目はいよいよ東京です。晴天に恵まれた三連休中日とあって、都内の観光地は人出と活気にあふれていました。
この日も講師は二人。「皆さんに出来るだけ多くのことを伝えるために、今日は普段より少し早口で話すかもしれません」との講師の言葉どおりに、東京の概要、車窓から見える建物の説明、訪問箇所の説明法、そして渋滞時の話題についてまで、綿密でしかも人を惹き付けてやまない説明はどれも聞き逃せないことばかりで、受講生のノートが見る見る埋まっていきます。
各訪問地では、希望者に英語のモデルガイディングもあり、一言も聞き漏らすまいと、受講生は全身を耳にして聞き入っていました。「堅苦しい歴史や統計も表現一つで、聞いて楽しいものになるのに驚きました。」という感想もありました。

鎌倉と箱根のバス研修は3日目に行なわれました。
安心して聞いていられるベテラン男性講師の話術に、受講生は今までになくリラックス。素晴らしい富士の眺めと ともに、少し観光客気分を味わったようです。
年々難しくなる鎌倉の駐車場事情やロングドライブでの話の持たせ方の話に、受講生は熱心に耳を傾けていました。

バス研修 日光
研修4日目は日光バス研修でした。4日間の中休みで少しリフレッシュした表情で受講生が帰ってきました。早朝8時の出発でしたが、遅刻者もなく、皆期待に満ちた表情でバスに乗り込んできました。
講師はこの日も2名。「日光が大好きだと言う講師の熱意が伝わってきました」という受講生の感想どおり、ガイドというよりは日光の研究者に近いほどの詳しい説明に、この日もまた受講生は受験生にでも戻ったように、寒さも 忘れてノートをとり続けました。
研修3、4日目は、帰りの車中で受講生どきどきの3分間スピーチがありました。
聞く立場から一転、話す立場になり、しかも3分とはいえ、その場で籤引きしたテーマについて講師や受講生の前に立ってマイクを通して説明する。ガイドになれば3分間どころではないのは承知していても、これはなかなか刺激的な経験になったようです。

新人研修会(関東) 懇親パーティ
そして研修最終日は、東京芸術劇場でのセミナーと懇親パーティ。

セミナーでは、日本人が普段あまり考えたことのない、しかし外国人が必ず興味を持って尋ねてくる「ガイディングのトピックス」についての講義と参考文献紹介、そして気になる「ガイド料金」についての説明を受けました。
受講生より少しだけ先輩のJFGガイドの笑いと涙を誘う体験談には、受講生全員、明日はわが身と身を乗り出して聞き入っていました。4日間の実地研修を通して、初日に講師の言った「プロのガイドとしての仕事の難しさ」の 意味をつかみ始めてきたことが、この時の真剣な表情からうかがわれました。
その後、昼食をとりながら、小グループに分かれての懇談会。大勢の前では聞けなかった講師への個人的な質問や、各言語ごとに微妙に違う業界事情などを尋ねる受講生が多いようでした。
JFGの研修会最後のプログラムは、現役ガイドの講師とスタッフが前に出て、受講生からの質問に答えるパネルディスカッションです。子育てとの両立、ガイドの年収と税金処理、トラブル処理、JFG入会のメリット、普段している 勉強法などの質問に、受講生のこの仕事に寄せる真剣な期待が表れていました。

受講生の皆様、5日間本当にお疲れさまでした。
ガイド業界はまだまだ順風満帆とは言えませんが、厳しい状況の中でも通訳ガイドという職業に誇りを持って従事しているJFGの現役ガイドの姿を見て、この仕事の社会的意義とそこから来る充実感を感じ取っていただけたのではと思います。そしてそこに至るための研鑚が、ガイド試験で終わるのではなく、実はそこから始まるのだということを、ご理解いただけたのではと思います。
JFGは、これからも様々な会員研修会や活動を通して、通訳ガイドの資質を高めることにより、私たちが大切に思うこの職業の社会的地位の向上を目指していきます。
これからもJFGをよろしくお願い申し上げます。

(新人研修担当 松本 美江)

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