外国人に喜ばれる場所・料理は?(前編)
外国人の好みはツアーの種類、時期により多少異なりますが、実際私たち通訳ガイドの経験からいくつかを2回にわたって紹介いたします。
ロシア人に喜ばれる長崎の訪問地・・・悟真寺(ごしんじ)
キリスト教が盛んだった1598年に長崎で再興された最初の仏寺で、浄土宗のお寺です。境内の稲佐悟真寺国際墓地に、各国人に混じり、ロシア人が約270名葬られているのです。 古くは1853年にプチャーチンがアスコールド号で長崎に入港した時、乗組員の間にコレラが発生し20名の死者が出て、悟真寺に葬られました。また1896年にはニコライ2世が来日した際に 悟真寺を詣でています。日露戦争のロシア人犠牲者も眠っています。1917年のロシア革命で日本に亡命してきた人やその子孫で日本で亡くなった人のお墓もあります。1991年にはゴルバチョフ元大統領も訪れました。異国で同国人が手厚く葬られ、ずっとお墓の世話をしてもらっていることに感激するようです。(Y.M.)
ドイツ人に評判の良かった訪問地と食事(今年のツアーから)
私なりのランキングですが一位はやはり飛騨高山、二位はミホミュージアム、三位は明石大橋の舞子公園プロムナード。高山の朝市と古い町並みは特に好評です。ミホミュージアムの設計者、 ペイ氏は新装されたベルリンのドイツ歴史博物館の設計者としてもドイツでは知る人ぞ知る存在です。今年は4月中旬、美術館棟からのトンネルを抜けて突然視界に現れた満開の枝垂れ桜には息を のみました。舞子公園に広がる紺碧の海と美しい明石大橋、その背後に見える緑の淡路島、このコンビネーションはドイツ人を感動させます。ドイツにはこんなに美しい色の海がないのです。
食事では広島のお好み焼き。目の前で焼いてくれる店のおじさん、おばさんの手つきのあざやかさ、”生の”日本人庶民と隣り合わせで杯を酌み交わせる楽しさが印象に残るようです。(T.T.)
中国人と富士山
観光地ではなんと言ってもズバリ「富士山」又は富士山の見えるところが好きです。ほとんど例外なく美しい景色に感動します。富士山はその代表。食事は熱い食べ物でないと喜ばれません。現代っ子は冷たい飲み物や、弁当なども抵抗なく食べるようになりましたが、全体的にはまだまだ抵抗はあるようです。出来上がりの熱い「ラ-メン」、それも具がたくさん入ったものや、「うどん」などは喜んで食べます。 ただ、そばはあまり喜ばれない事が多いです。
観光にしろ、食べ物にしろ、個人差は当然ありますが、全体的に、簡単に言うと中国からの お客さんに共通して言えるのは上記の傾向です。(T.K.)
韓国人を京都に案内して
京都を何度も訪れたことのある人は、主な観光地をすでに回っているので、小人数でガイドに「おまかせ」の時には、嵐山の大河内山荘を案内し、大変喜ばれています。自然を生かし、周囲の風景にふさわしく、なおかつ手入れの行き届いた庭園は日本情緒もたっぷりで、散策後に竹林を眺めながらのお抹茶も格別です。
大阪で小人数、個人客の場合には、庶民の味に興味をもたれた場合、お好み焼きや炉端焼き。帰国のときに感想をたずねると、「高級ホテルのレストランは世界中どこも似ているからね、 その国らしさを知るには下町が面白いんだよ。」「大阪は全体的に食べ物がおいしいね。」(I.J.)
フランス人の好む日本料理とは
フランスではヌーベルキュイジーヌのブームが終わり、カロリー控えめの素材を生かした料理が主流とか。ヘルシー嗜好を反映してか、パリでも回転寿司が流行っているそうで、本場の “Sushi-Bar”に行きたいというお客様が結構います。特に鮪、鮭、光り物等の柔らかいネタが好評です。
すき焼きよりはしゃぶしゃぶで、それよりは焼肉がお好きなようです。みりんと醤油の混じったあの甘辛いタレの味が大好きです。鰻重は始め「ギョッ!?」とされますが、かなり御口に合うようです。
焼き鳥も嫌いな人はいません。先日も、元首相を焼き鳥屋にご案内しましたら、「おいしかった。感動した!」とは仰いませんでしたが、とても気に入られご満悦の様子でした。(H.N.)
後編は11月にお届けします。お楽しみに!