2004年度JFG新人研修会(関東)レポート
2004年度JFG新人研修会(関東)レポート
今年の新合格者研修会は波乱の幕開けでした。試験執行機関である国際観光振興機構(JNTO)が、個人情報保護のため合格者の連絡先を開示しない方針であることが1月に入って判明したために、例年合格者に郵送していた研修会の情報を合格者に知らせる方法がなくなってしまったのです。そこで急遽すべての情報をこのホームページに載せる措置を取りました。例年合格者から質問がある「JFGの研修会の特徴」や「JFGと他の団体との違い」についても詳しくQ&A形式で説明したことが功を奏して、結果的には関東、関西両地区ともキャンセル待ちが出るほどの反応がありました。
研修会初日は、JFG研修会の名物講師による「ガイド業務について」の講義で始まりました。報酬を受けるプロの仕事内容の多様性と、ボランティアガイドとは全く違う責任の大きさを厳しくもユーモラスに説明するこの講義に受講者の表情からは祝賀ムードが消え去り、プロ を目指す真剣なものに変わっていきました。
午後は成田空港の実地研修でした。簡単そうに見えて実は様々な事前準備と現場での迅速で的確な動きが求められるのがこの空港送迎の仕事です。ターミナルでの必要な動きがすべて動線つきで解説されたテキストを活用しつつ2名のベテラン講師が指導を行いました。講師たちはこの研修会のために空港下見や打ち合わせを繰り返して臨んでくれました。
2日目はすべてのツアーの基本となる東京実地研修でした。この日も朝バスが走り出した時から、午後6時過ぎの東京駅での終了まで受講生は休む暇もなくメモを取り続けることになりました。ガイドブックでの解説を翻訳して話すだけだと5分も持たないような浅草寺の説明も、神仏混合から仏陀と菩薩の違いに至るまで聞き手の興味をそらさず話を広げ、最後は必ずユーモアで締めくくる二人のベテラン講師の話術に「目指すべきガイド像」が見えてきたとの感想がありました。
3日目は鎌倉と箱根の研修でした。鎌倉への車中では「日本人家族の一日」を紹介する紙芝居など講師秘伝の小道具の紹介があり、受講生は3日目の疲れも忘れて聞きほれていました。長年の経験により作り上げてきたガイドの財産である小道具や話題を惜しげもなく披露する講師たちに感謝するとの感想が多く聞かれました。箱根では外国人観光には必ず入っている船やロープウエイに実際乗って説明のポイントを聞くことでガイドの仕事が実感できたようです。実地研修ならではの収穫でした。
4日目の日光実地研修には、一週間の休養を終えて元気を取り戻した笑顔の受講生が帰ってきました。この日も講師は二人、日光の専門家と言ってもいいほどの英語のベテランガイドと朴訥とした温かい話し方で聞き手を惹きつける中国語のベテランガイドが講師を担当しました。雪の降る中、凍える手で必死にメモを取る受講生の熱心さに講師はさらに熱弁を揮ってくれました。華厳の滝の前で中国語講師の先導で李白の詩を全員で唱和したことは一生の思い出になることでしょう。
最終日はJFGの理事長による有資格ガイドを守るために現在JFGが取り組んでいる活動についての話がありました。その後再び名物講師による「よく聞かれる外国人特有の質問とその答え方」の講義とJFGについての説明に引き続き、昼食懇談会と言語別グループディスカッションがありました。厳しくも充実した5日間を完走した受講生の表情には達成感と充実感が見られました。終了後回収したアンケートには細かい字で用紙一杯に感謝の言葉が綴られていました。「こんなにも厳しくこんなにも心暖まる5日間をありがとうございました。一生忘れられない研修会になりました!」などの感想にスタッフと講師は苦労が一瞬で報われた気持ちになりました。受講生の皆様のこれからのガイド人生にJFGが役に立てるようにこれからも活動を続けて行きたいと思います。
(新人研修担当 松本美江)