通訳ガイド体験談 < コロナ下で仕事を失った通訳案内士の奮闘記 >
2022.3.15
長年の企業戦士をやめて2015年からガイド業を専業としている名古屋在住ガイドです。地道な営業と一つ一つの仕事を大事にこなして行くうちに仕事も増えて丸5年が経ち、各種ツアーを受け年間約60日の稼働率までようやくあがってきた頃にコロナ襲来。2020年はついに1件、その後完全失業。しかし私にはコロナどころでない出来事が続きました。2020年5月に自動車激突事故、2021年5月はようやく後遺症から立ち直った矢先にギックリ腰と厄のオンパレードだったのです。
長い暗闇の中でずっと落ち込んでばかりではいけないと思い、前を向いて何か取り込もうと決めて、2つのことに挑戦してみることにしました。
一つ目は動画制作、二つ目は神社検定2級です。
★初めての動画制作
きっかけは2020年の秋にiPhone のアプリiMovie予告編の短い動画をたまたま見て感動し、ど素人でも作れた最初の動画の出来映えが素晴らしかったことです(自画自賛)。加えて、下見で撮った膨大な写真は少し時間をおいた後から見直すとさっぱりわからない悩みを抱えていた私には、動画制作は役に立つと思いました。YouTubeで色々調べて年末にアクションカメラGoPro9と動画編集するための最新iPadを思い切って購入しました。オンラインツアーの需要の高まりへのいわゆる先行投資です。それからは様々なYouTube先生と奮闘の日々。GoProやiPadの操作把握に時間を費やして編集の域まではまだ遠い道のりだった頃、JFGの動画プロジェクト(注)説明会に参加して全体像を掴み、スタッフの方にもアドバイス頂きました。また、別の動画セミナーも探して2回受け編集にも生かすこともできました。
新たにJFGの自己紹介動画の取り組みが発表され、HPにUPする目的に意義を感じ、これまで孤軍奮闘で取り組んできた動画を何度も取り直し完成。いったん期限が切られていた事が、私のような間際にならないとエンジンかからない人間には「やらなきゃ」というモチベーションにもなりました。旅行会社にとってもどういう雰囲気でどんな英語を話すのかがわかるこの自己紹介動画はとても役立つと言われ、苦労した甲斐があったと思います。
★初めての有料オンラインツアー参加
時は流れオリンピックパラリンピック選手関係者向けオンラインツアーを知り、またしてもとりあえずやってみる好奇心と応援しなきゃという気持ちにかられ自分も作成することを決めました。最終的に神道をテーマに動画3本パワポ資料28枚で1時間のツアーにまとめました。「普段見られない御祈祷風景を撮って選手と一緒に勝利を目指して祈るのだ!」と単純な発想です。一番苦労したのは著作権と映像の品質です。名古屋蝮が池八幡宮の宮司さんに撮影や画像使用許諾を得たのですが、神道にかかせない神話の絵がネックでした。天孫降臨等含め数枚の絵を最終的に自分で描かざるを得なくなった事が結果的に意外に好評でした。またZOOM配信では「元の品質は良くても配信時に勝手に動画品質が落とされてしまう」ということもわかりました。結局準備が間に合わずパラリンピック向けのみの販売でしたが、参加者からは高評価頂き、やったことで気づくことも多く有意義だったと考えています。道半ばの動画制作ですが、JFG含め他のサイトでのオンラインツアーを購入しながら、いつかJFG動画紹介サイトにもUPできればと考えています。
★神社検定2級
きっかけはギックリ腰になって散歩にも行けなくなったことです。毎年変わる指定教本の一つががたまたま神話の教本だったため、またしてもあくなき探究心で受験を決めました。2級を持っている友人から無謀と言われた試験本番までわずか1ヶ月。神道の歴史も入りあまりに広範囲で、まさに高校生の歴史教科書を含んだ受験勉強そのものでした。しかし「この1ヶ月さえ耐え抜けば」と一意専心。勉強前のお試しテストでは3割で7割の合格ラインからかけ離れていましたが、93点で合格。短期決戦だからこそできた賜です。私的な検定で2級では細かすぎてガイディングに取り入れない事も多いですが、「そうだったのか!」と新たな発見に驚く事も多く、これからガイドデビューの方も神社好きな方も、ご興味あればまずは3級を受験されると不思議な神道を身近に感じて神社へ行くのが楽しみになるかもしれません。
先行き不透明なコロナ下だからこそできた新しいチャレンジが今後のガイド業務にも生かされると信じています。
(浜田 伸子 英語 愛知県在住)
(注) 希望する組合員が得意な観光地のガイディング動画作成し、それを仲間の組合員たちにJFGホームページの組合員専用サイト内で紹介販売できるというプロジェクト