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研修会レポート-鎌倉防災研修

2018.10.15


鎌倉は高徳院の大仏殿が津波で流されたエピソードが物語るように、過去に何度も津波の被害を受けた古都です。山と海に挟まれたその町を観光案内中に万一津波に遭遇した場合、どのようにして逃げ場を見つけるか?鎌倉市作成のDVD「津波シミュレーション」によると、将来予想される津波では最悪の場合避難時間は8分しかないと言われています。

 

古都鎌倉には様々な観光名所が点在します。鎌倉駅周辺、由比ヶ浜大通り、長谷寺、大仏などこれらの場所で観光案内中に津波が起こったら、そこからどのようにしてお客様を誘導し、避難すればよいのか?その不安を少しでも解消するため、2017年7月26日に危機管理の一環として本研修会が開催されました。研修に先立って業務研修委員会のメンバーが実際に歩いて収集した情報と資料を元に当研修会担当スタッフによるブリーフィングの後、参加者各自が実際に足で歩き、避難ルートの確認を行いました。

 

 

観光案内の地区として主に下記3地区が想定されます。
(1)鎌倉駅(海抜6.4m)と鶴岡八幡宮(海抜11.0m)周辺
(2)由比ヶ浜大通り(海抜8m)と長谷寺(見晴台の海抜21.4m)周辺
(3)高徳院(大仏殿・海抜11.8m)周辺


これらの地区を鎌倉市作成のハザードマップ等の資料を元に避難路や避難場所を実際に歩いてみました。鎌倉市では多くの神社仏閣、学校等が避難所、避難場所に指定されています。津波避難ビルはビル所有者の善意により指定されており、市内に30棟あります。各避難ビルの収容スペースは限られていますが、他に逃げ場がなくなった場合の最終手段として、それらの位置を確認しておく必要があります。また避難ビルとして指定されていなくても、万一の非常時に避難に使えそうな高いビル等も意識しながら歩いてみました。

 

<研修会を終えて>

鎌倉観光案内中に万一津波に遭遇したら、いかにお客様の身の安全を守るかということが最も重要となります。とにかく高台へ避難することを念頭に日頃から避難路を意識しておくことが大切です。多くのケースは宿泊先である都内のホテルへ戻るための交通手段を確保する必要があり、JR北鎌倉駅、湘南モノレール湘南深沢駅、JR大船駅までのルートを確認しておくことも不可欠です。また、公共交通機関の運休や交通手段をすぐに確保できない場合に備えて、鎌倉市内のホテルや避難所をいち早く確保する必要性も出てきます。

 

鎌倉市では大きな地震の後、津波警報が出たらサイレンが鳴ります。サイレンが聞こえたら迷わず避難することです。そのサイレンが耳に届かない可能性がある海にいる人々のために、由比ヶ浜ではライフセーバーによりオレンジ色の旗が振られます。「100回逃げて100回津波が来なくても、101回目も必ず逃げて。」3.11東日本大震災を経験した釜石市の中学生の言葉です。

 

津波以外にも地震、崖崩れ、土砂災害など色々な可能性を考え、「観光中万一災害に遭遇したらどうするか?」と旅行会社へも問題提起をするなど、非常時には適切な行動がとれるよう日頃から対策をたてておくことが大切です。

 

 

(佐保田 奈津子)

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