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【通訳ガイドレポート】通訳ガイド体験談< 通訳ガイドとYouTubeビデオ制作 >

2024.3.15

(1) YouTubeビデオを作るようになったきっかけ

私は、通訳ガイドとして活動する傍ら、観光地などに下見に行った際の映像等を利用してYouTubeビデオを作って公開しています。
私が、通訳ガイドとして登録したのは2020年の4月でした。その年の2月に、JFGの東日本新人研修を受けて、「準備万端、さあガイドデビューするぞ!」と思っていた矢先に、新型コロナ のパンデミックで、海外からの観光客が全くない状況になってしまいました。
その頃から、JFGが積極的にZoom研修会などを開催しており、Zoom研修や新人研修で得た知識を再確認しながら、観光地などの下見を繰り返す日々でした。

 

そして2021年の初め頃に、JFGのウェブページに会員紹介コーナーを作るため、希望する会員は各自YouTubeビデオを作成して、事務局に送り、紹介動画をアップするという企画が始まり、私も応募しました。
動画を本格的に編集して、YouTubeビデオを作成するのは初めてでしたが、結構面白いものだなと思いました。そして、 これをきっかけに、下見に行った際にビデオを撮ってきて、それを編集するのも面白いかもしれないなあと思いました。
その時には、自分の制作したビデオを見た海外の方が、日本を訪問した際に私をガイドとして指名してもらえるのではなどと甘い期待も持っていました。

 

(2) YouTubeを作って分かったこと

ただ、実際にビデオを撮って編集してみても、中身に自信が持てず、なかなか公開する勇気がないまま時が過ぎていきました。
しかし、2022年春になって、上野公園や新宿御苑の桜の花をYouTubeビデオで公開しようと決心しました。というのも、前職が農業に関連する仕事だったので、桜などの植物の知識に関してそれなりに自信があったのと、桜はほんの限られた時期にしか見頃にならないのでインパクトのあるビデオをアップする絶好の機会と思ったからです。

 

さて、実際にビデオを編集し公開し始めると、色々なことが分かってきました。まずは、ビデオを見て楽しんでもらえるように、撮影の時から、より具体的にシナリオを考え、下見ができるようになったことです。そして、画像に入れる英語字幕も、より真剣に推敲できるようになりました。
さらに、ビデオの視聴数や「いいね」の数が、ビデオの内容や質に応じて可視化されるので、それを励みにしたり、反省したりできるメリットがあることにも気づきました。

 

(3) 実際のガイディングとYouTubeビデオ

2022年の春から夏にかけては、まだ渡航観光客の方も少なく、実際のガイドをする機会はなく、不安な気持ちでYouTubeの制作とアップを続ける日々でしたが、秋ごろからやっと、FITと呼ばれる少人数の個人客を都内観光地などにご案内する仕事を、少しずつ受けられるようになってきました。

皇居でガイディング

 

ガイドをしてみると、観光スポットでは、ビデオのために繰り返した下見が結構効果的であったと実感できましたが(もちろん予想外の質問にタジタジになることも多いのですが)、スポット間の公共交通機関等での移動に、意外に苦労が多いことが分かってきました。限られた時間の中で、ゲストの方に気持ちよく移動していただくために、ゲストのホテルと目的地を含んだ全体の動線や、切符の購入方法等を事前にきちっと確認するのはもちろんですが、移動車内での話題提供のため、地下鉄豆知識などちょっとした引き出しを多く持つ必要性を感じました。
そして、数はまだ多くないですが、JFGや以前からお付き合いのあった農業関係の方から、団体の旅行や研修の仕事も受けられるようになってきました。

豊洲での研修会を通訳

 

団体旅行の場合、FITと違って、途中の動線確保の苦労は少ないのですが、迷子を出さずに決まった時間での行程管理に細心の注意が必要なのと、バスから見える車窓を含め、団体客の性格に応じたバス内等での話題作りには普段からの情報収集が重要なことを実感しました。私の場合、農業関係の団体をご案内することも多いのですが、例えば、都心にある明治神宮や浅草寺が、いかに五穀豊穣と結びついているか、稲妻としめ縄・雷門との関係などをお話するようにもしています。

 

実際にガイドをしてみると、YouTubeの制作だけでは気づかなかった多くのことを学ぶことになりました。それでも、同じガイド仲間の方から「ビデオ参考になりました」と言われたり、海外の視聴者の方から日本文化についての質問のメールを受けたりすると、良い面も多くあるなと感じています。
これからは、実際のガイドで得た経験や知識も踏まえて、またYouTube制作にも活かしていきたいと考えています。

(米野 篤廣 英語 東京都)

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