【通訳ガイドレポート】研修会レポート < 岡崎(徳川家康)研修 >
2024.5.15
愛知県岡崎市は徳川家康生誕の地であり、誕生から6歳までと19歳から29歳までの年月を過ごした地です。その岡崎には家康の足跡が数多く残されています。2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」の物語の舞台の一つでもあり、岡崎市美術博物館では2023年7~8月にNHK大河ドラマ特別展が開催されました。今回私達は徳川家康について学ぶ機会として愛知県岡崎市を訪れ、徳川家康の菩提寺である大樹寺と家康の生まれた岡崎城、そして岡崎市美術博物館で開催されたNHK大河ドラマ特別展「どうする家康」を見学しました。
大樹寺
お寺の方のご案内で徳川家康と菩提寺である大樹寺との繋がりをお聞きしながら境内を見学しました。桶狭間の戦いで今川義元が討ち死にした際、今川方だった徳川家康は大樹寺に逃れたものの敵に包囲され、自害を決意しました。その時に家康を諭し自害を思いとどまらせて再起を促したのが大樹寺の住職、登誉上人でした。この時、登誉上人が家康に授けた言葉が後に家康の旗印に掲げられる「厭離穢土 欣求浄土」でした。また、家康を追って大樹寺を包囲した敵を追い払ったのは寺僧たちで、中でも怪力の僧、祖洞和尚は大樹寺の総門のカンヌキを引き抜いて振り回して敵を追い払ったとのこと。家康はこのカンヌキを「貫木神」と命名しました。この貫木神は今も大樹寺に大切に祀られています。また、大樹寺のお庭には19歳の家康お手植えと伝わるツブラジイの老樹があり、その大木は今も秋には実を付けるそうです。
岡崎城
岡崎城は家康が生まれた地であり、若き日の家康が天下統一への基礎固めの拠点とした城です。明治の廃城令により天守閣など城郭の大部分は失われてしまいましたが、岡崎市民の熱い思いにより天守閣が再建されたのは1959年のこと。岡崎城の建つ岡崎公園には家康ゆかりのスポットがたくさん残されています。それらの史跡を岡崎公園観光ガイドさんのご案内で巡りました。見学した主な見どころは、東照公産湯の井戸、東照公えな塚、龍城神社、清海堀など。産湯の井戸は、1542年12月26日家康誕生時の産湯にこの井戸の水が用いられたそうで、今では開運スポットとのこと。えな塚は、家康誕生時に家康のえな(へその緒・胎盤)を埋めた塚。古来、日本ではえなを埋めて子どもの成長を願ったそうです。
岡崎市美術博物館
岡崎市美術博物館で開催されたNHK大河ドラマ特別展「どうする家康」では、全国から集められた国宝・重要文化財50件以上を含む約150件の展示品をとおして家康の生涯が丁寧に紐解かれました。同館の学芸員さんのお話によると特別展の最大の見どころは徳川家康坐像(重要文化財、京都・知恩院蔵)とのこと。この像は家康の子、秀忠の命により作られたもので、家康の孫の家光の時代に作られた多くの家康像よりも本当の家康の顔に近いといわれ、眼差し鋭く精悍な印象とのこと。実際にこの徳川家康坐像の前に立つと、まるで徳川家康が今にも何か語りかけてくるような特別で不思議な感覚に包まれました。
(畑井知代 英語 愛知県)