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【通訳ガイドレポート】研修会レポート < 箱根研修 >【NEW】

2024.10.15

2024年1月23日に JFG東日本業務研修委員会主催で箱根研修が行われました。
以下、当日のレポートから抜粋してご紹介します。

 

ポーラ美術館について (レポーター:佐藤愛子 英語 神奈川県)

 

1. 概要
2002年に開館。「箱根の自然と美術の共生」をコンセプトに、富士箱根伊豆国立公園の中にあり、豊かな自然と響き合う展示をはじめ、様々な要素が「響き合う」理念を大切にしている。
約10,000点のコレクションを収蔵し、常時約100点を展示している。
全敷地面積約120,000㎡、美術館延べ床面積約8,000㎡(地上2階地下3階建て) エントランス2階、チケットカウンター1階、企画展示地下1階、常設展示地下2階(地下3階は非公開、収蔵庫と機械室)

 

2. 創設者
鈴木常司(すずきつねし)1930年7月-2000年11月
ポーラを創業した鈴木忍氏の長男として静岡に生まれ1954年に24歳で社長(2代目)に就任し約40年務める。鈴木常司氏は特定のアドバイザーをつけず独学でアートを勉強し、その知識を活かし19~20世紀の西洋・日本美術の歴史を追うことのできる体系的な西洋絵画コレクションを作り上げた。値切らずに絵を購入したことでバイヤーからの信頼を得て、現在の素晴らしいコレクションが集まった。箱根を美術館の地に選んだ理由は「観光地に作ることで絵に興味が無い人でも見に来て欲しいから」と語っている。美術館の開館を待たずして2000年に亡くなる。

 

3. 建築
<概要>
設計:日建設計/チーフ・安田幸一(現東京工業大学教授)  施工:竹中工務店。
美術館建築プロジェクトが1994年に始まり、計画地の詳細な自然環境調査、建物を分配配置から円形集中配置にするなど議論を重ね、基本~実施設計:1996年10月-1998年9月。
工期:2000年4月-2002年5月。2003年村野藤吾賞受賞。2004年日本建築学会賞・作品賞受賞。日本免震構造協会賞・作品賞受賞。

 

<立地と環境への配慮>
富士箱根伊豆国立公園の中に建ち、周囲の自然環境を極力破壊しないこと及び森の景観を
壊さず斜面に馴染むよう、地上部の高さを8mに抑え、建物の大部分を地下に埋め込んだ。

 

<鉢形の穴と免震構造>
直径74mの鉢形に掘られた穴に建物の大部分が埋まっている。土の圧力(土圧)に最も強い形状であり、地下水流を分断しない点でも適した形状。またこの建物と鉢形の穴の間には完全免震構造(アイソレーター、鉛ダンパーとオイルダンパーの2種のダンパー)が採用されており、いわばお椀状の土台を埋めてその上に耐震ゴムを設置し、それに建物が乗っかっている(浮いている)状態。こうすることで地震による人や美術品への被害を最小限に抑えている。また、この構造は積極的メンテナンスも可能にしている。

 

<デザイン>
コンクリート、鉄、ガラス、石というシンプルな素材で様々な表情を作り出す工夫満載のデザイン。エントランスアプローチから緩やかに傾斜していて自然と森から美術館に誘う。表のサインタワーと館内の壁材は一体感を持たせている。玄関を入るとトップライトが奥まで伸びたエスカレーターのある空間が広がり、ガラスを通して周囲の自然を存分に感じられる。エスカレーターを降りると地下でありつつ光が落ちる吹き抜けのロビー空間に圧倒される。館内南側にある高さ20mにも及ぶすりガラス状の壁板は光を柔らかく反射し、夜には壁板の裏に仕込まれたLEDライトが柔らかく灯る。建物を上空から見ると十字型にデザインされているが、周囲の自然への配慮と美術館として必要な役割を考えたとき自然とこの形になった。十字型によってできた四隅のスペースには外部に直接避難できるデッキや設備スペースとして有効活用している。

 

<硫黄ガスへの取り組み>
美術館から大涌谷まで直線距離で約1.5kmのため硫黄ガスによる作品へ影響の考え、館内
空気取り入れ口には化学吸着フィルターを設置している。館内の窓は開く構造にはなっている
が、開けないようにしている(避難訓練の時でさえ開けない)。唯一出入り口は空気の入れ替えがあるが今のところ作品への影響はない。

 

 

九頭龍神社本宮について (レポーター:千田香苗 英語 神奈川県)

 

九頭龍神社本宮へ徒歩にて参拝
九頭龍神社本宮は「箱根九頭龍の森」の園内に祀られており、徒歩で参拝する場合は入園料を支払う必要がある(600円/大人 2024年2月現在)。徒歩ルートは2通りあり、ひとつは湖尻ターミナル側から、もうひとつは箱根園側からで、ザ・プリンス箱根芦ノ湖の駐車場の先に、箱根九頭龍の森へ続く道「セラピーロード」の入口がある。今回は箱根園からセラピーロードを通り、箱根九頭龍の森の入口まで約20分。そこからさらに九頭龍神社本宮まで約10分歩いた。

 

【セラピーロード】
箱根湖尻ターミナルにある入口から箱根園まで続く約3kmの遊歩道。箱根町が町の取り組みとして、湖尻エリアの九頭龍の森と芦ノ湖エリアの箱根やすらぎの森を整備し、医学的見地からの検証の結果、森林セラピー®の効果があることが認められ、2016年3月、「箱根芦ノ湖森林セラピー®基地」として森林セラピー®ソサエティから認定を受けた。
道は舗装されており、湖畔添いを美しい芦ノ湖の景観や森林浴、鳥のさえずりなどを楽しむことができる。冬の晴天の日は、枝の間から富士山も拝むことができる。

  

【箱根九頭龍の森】 
1971年に「箱根樹木園」という名でオープンした、芦ノ湖畔の樹木や草花類が数多く自生する緑豊かな自然公園。開園のきっかけは1965年の昭和天皇御行幸の折に、陛下が箱根に多く分布する植物が年々減少していることを憂えたこと。西武グループが所有していた53ヘクタールの土地を利用し、①原則として大部分を自然のままに残すこと、②自動車道路を設けないこと、③遊歩道を作る際にみだりに樹木を伐採しないこと、を基本条件として自然保護の目的で作られた。2010年に「箱根九頭龍の森」へ改名。

 

生息している鳥:エナガ、ホオジロ、カワセミ、カルガモなど 季節により様々
自生している植物:ヒメシャラ、アセビ、カエデ、ケヤキ、スギ、ヒノキなど、本州の約7割の種類の植物が自生している

 

入園料:大人600円 子供300円 (2024年2月現在)

入園料:月次祭の時は午前中無料。

入園料:モーターボートをチャーターして来る場合はそのボート代に入園料は含まれる。

 

開園時間:9:00〜17:00 最終入場16:30 ※季節で変更あり 定休日なし

 

※トイレは入口入ってすぐ右側にあるが、数は1つのみ
※九頭龍神社本宮の左側の散策路は2024年1月23日時点では閉鎖中。湖尻側に抜ける道は元々なく、一旦出入口へ戻って九頭龍の森を出る必要がある。

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