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【通訳ガイドレポート】2025年 東日本地区新人研修会報告【NEW】

2025.8.15

1.JFG新人研修会について

全国通訳案内士を目指して勉強し、晴れて試験に合格したものの、「どうやって仕事を始めればいいのか分からない」と戸惑う方は少なくありません。そこでJFGでは、毎年2月に東日本地区と西日本地区で新人研修会を実施しています。この研修会は、新合格者の皆様が「プロの通訳ガイドとして仕事を始めるために、実践的かつ必要最低限の知識をひと通り学べる」ように企画しています。新合格者だけではなく、以前に合格したが通訳ガイドの実務経験のない方、すでに通訳ガイドとして働いているが基本を学び直したい方も歓迎しています。

 

2025年2月の新人研修会は、バス2台を使用し、下記の日程で実施し大盛況のうちに終了しました。参加者は、関西・東北・四国・中部・北陸など全国各地から集い、年代も30代から70代にまで及びました。50代以上が76%、60代以上が47%占め、60代以上の割合は過去最高を記録。合格言語は英語を中心に、中国語・韓国語・フランス語・スペイン語・イタリア語・ドイツ語のご参加もありました。バス研修の行程・時間などについては、こちら▶新人研修会 (https://jfg.jp/training/)をご覧ください。

 

◇2025年 実施日
Day 1 動画講義の自宅学習 合計8時間30分
「ガイドの基礎知識・クレーム」「添乗業務(仕事が始まるまで~仕事中の留意点~仕事終了後)、急患対応、実践シミュレーション」「ホテルチェックイン・アウト、旅館」」「空港(成田・羽田)・駅での送迎業務」「危機管理・食事制限」、「大手旅行会社インバンドご担当者様のお話し:業界動向、求めるガイド像など」
Day 2 2/22(土) 東京(バス実地)
Day 3 2/23(日) 鎌倉・箱根(バス実地)
Day 4 2/24(月・振休) 日光(バス実地)
Day 5 2/25(火) セミナー:ガイド料金・JFGについて、名刺交換会、質疑応答、修了式

 

通訳ガイドの仕事は、「外国語を使って外国人に付き添い、日本について案内をする」ことです。その業務には、大きく次の3つの要素があります。
①ガイディング(観光案内) ②添乗業務(旅程管理) ③旅の演出家(旅行全体の雰囲気づくり)

 

東日本地区の新人研修会は5日間です。Day 1は自宅学習です。バス研修の前に『添乗業務』などに関する講義動画をご自宅で視聴していただきます。『添乗業務』とは、バスや食事場所などの予約確認・変更といった、旅行全体の行程管理に関わる業務のことです。じつは、この『添乗業務』が、通訳ガイドの仕事の重要な部分を占めています。通常、通訳ガイドには添乗員がつかないため、ガイディングをするだけではなく『添乗業務』もこなし、交通の遅延や病気やケガなどのトラブルが起きたら、ガイドが迅速に対処しなければなりません。今回の講義動画では、こうした現場で役立つ「添乗業務の基本」に加えて、「クレーム」「ホテルチェックイン・アウト、旅館」「空港(成田・羽田)・駅での送迎業務」などを網羅的にまとめた動画をご自宅で繰り返しご視聴いただけるようにしました。

 

Day 2~Day 4の3日間は、観光地を訪れるバス研修です。外国人観光客の興味は多岐にわたり、日本人にとって当たり前過ぎて気にも留めないことや、ガイドブックに載っていないことを尋ねられることが多いです。そのため、通訳ガイドには、常に「外国人の視点」に立った説明が求められます。また、旅の雰囲気づくりにも工夫が必要です。話題選びや話し方次第で、お客様の満足度が大きく変わるため、ガイドは「旅の演出家」としての感性も大切です。バス研修では、先輩ガイドがバス車内でどのような話題を展開し、現地ではどこで立ち止まって案内しているのかを体感できます。現場で先輩ガイドの『ガイディング』と『旅の演出家』のエッセンスを学ぶことができる貴重な機会です。

 

Day 5は、研修会のいわば総仕上げです。ガイド料金やJFGの活動についての話、現役ガイド2名による体験談に加え、新たな取り組みとして、大手旅行会社のインバウンドご担当者との名刺交換会を実施しました。中には「その場で仕事のオファーを受けた」という声も寄せられ、大変好評でした。続いて、研修会中に解消できなかった様々な疑問・質問に、総勢10名以上の現役ガイドが回答する質疑応答です。特にこの時間がためになったという声も多かったです。最後に、修了証の授与、記念撮影、歓談をもって、5日間の新人研修会は幕を閉じました。次にアンケートでいただいた感想の一部をご紹介します。

 

 

2.研修会の感想

 

Day 1  『添乗業務』の動画講義
「事前講義動画は合計8.5時間の大作で、テキストも基礎的なところから本当によく練られて作成されていました。PCで見るだけではなく、通勤時間に電車で、或いはジョギングをしながら何度も反復して視聴しました。講師の皆様は、お仕事をしながら、これだけの大作を準備されるのは大変だったと思います。講義を無駄にしないように、定期的にテキストで復習をしながら定着させたいと思います。」

「ガイド目線の送迎をビデオでわかりやすく必要な業務や注意Pointが理解できました。」

「360度カメラを駆使した映像に驚きました。まるで実地研修を受けているような空港研修でした。」

「エージェントの方からガイドに期待することを聞けて良かったです。特に、クレームの実際の生々しい実態を聞いて背筋が伸びました。」

 

Day 2 バス研修:東京
「バス内での最初の挨拶で雰囲気を和らげたり、明治神宮や浅草でも、これほどたくさん説明できることがあるのかと思うほど、いろいろな歴史や文化を教えていただきました。また、どこで道に迷いやすいか、浅草ではバスの乗降がキーポイント、迷子にさせない技術、など必須のポイントも押さえることができました。」

「いずれの講師の方も魅力的で、大変学びの多い研修でした。お人柄の良さが、おそらく最も大事で、お客様に喜んでいただける秘訣だと思いました。申し込んだ時は正直高いと感じましたが、これだけの内容であれば、やむを得ないと思いました。」

  

 

Day 3 バス研修:鎌倉・箱根
「講師のガイディングは 実践的ですべてが参考になる内容でした。手持ち資料や折り紙など、旅行者を楽しませるツールや話題が豊富に紹介され、将来必ず役立つと感じました。多くのアイディアを惜しみなく提供してくださる姿勢に心から感謝しています。」

「講師の明るく楽しく親しみやすいお話に終始惹きこまれました。高徳院では、ガイディングのコツや大仏の構造など、観光者の時には気づかなかった点ばかりで新鮮でした。箱根は、恥ずかしながら遊覧船やロープウェイが2系統(二つの会社)あることを知らなかったので、非常に勉強になりました。帰りは渋滞に引っかかってしまいましたが、ロングドライブの時のお話について次から次へと教えてくださったり、多種多様な質問にも明快に答えてくださり、すごいなぁ…と思いました。」

 

Day 4 バス研修:日光
「ロングドライブのガイドの仕方や現地での案内のポイントを伺ったが、色々な興味を引き出すガイディングが圧倒的でした。移動中の話の中に伏線を張っておき、現地のガイディングで回収するなどの技も教えていただいた。迷子対策は重要であり、集合ポイントなどの設定や周知が重要であると認識した。また、表面的な説明ではなく、質の高い資料にあたって、正しい知識を仕入れておくことで、より深い説明を有機的に行うことが可能になることも理解できた。」

「いろいろな小道具を見せていただき、勉強になりました。事前に調べておくこと、日々の情報収集の大切さがわかりました。」

「現役ガイドの体験談をお聞きでき大変勉強になりました。アジア圏の方ならではの会話ポイントや行動様式についても教えていただけて嬉しかったです。」

 

Day 5  最終日セミナー
「体験談もとても参考になりました。ご両人とも会社をおやめになってガイドになられて、いろいろご苦労されたんだろうなと感じました。新人でも頑張ればなんとかなるのではないかと感じさせてくれました。」

「名刺交換会は、旅行会社の方々のお話を伺い現実を垣間見ることができたことが良かったです。いろいろな経歴をお持ちの10名超の先輩諸氏が語る、各々の大変なこと、良かったことは、質問コーナーと共にとても参考になりました。」

「先輩ガイドの皆さんが一人ずつ、ガイドになってよかった点などを語ってくれましたが、これが一番のハイライトだったのかもしれません。皆さんの熱い話をうかがって感動すらしました。」

「エージェントの方との面接や先輩の経験談、質疑応答などすべてが有益な内容でした。大満足です。」

 

 

3.おわりに

JFG新人研修会には、全国通訳案内士の国家試験に合格された方であれば、JFGの組合員でなくてもご参加いただけます。次回も、新人ガイドの皆様が通訳ガイドとして無事にデビューを果たせるよう、通訳ガイド業界で最高の新人研修会を目指し、講師・スタッフ一同、全力で取り組んでまいります。

 

最後に、開催にご協力いただいたすべての皆様へ、心より感謝申し上げます。ご尽力いただいた組合員の皆様、事務局の皆様、そして東日本新人研修委員会の15名の委員の皆様、本当にありがとうございました。

(東日本新人研修委員会 委員長 桶谷 有紀  英語 東京都)

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