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【NEW】【通訳ガイドレポート】研修会レポート < 世界遺産平泉 現地バス研修 >

2026.10.15

東北が誇る世界遺産、平泉。奥州藤原氏が築いた極楽浄土の理想郷の背景には、東北地方の武士の成り立ちや闘争、源氏との関係、そして当時の政治・宗教観が複雑に絡み合っている。
2026年夏、東日本業務研修委員会では、平泉の歴史的価値を世界遺産指定(2011年)の文脈から学ぶオンライン研修と、中尊寺金色堂など平泉の文化遺産や自然遺産を効率よく回る現地バス研修を開催。現地バス研修では、平泉の歴史・地理に造詣の深い岩手県在住のJFG組合員・佐藤道夫さんを講師に迎え、ローカルならではの話題も盛り込んでいただきながら、インバウンド視点、ツアーの取り回しを意識した実践的なお話を沢山していただき、大変充実した一日となった。

 

スルーツアー(札幌発~東京または京都まで)の一環として、平泉町及び一関市は近年人気を集めている。滞在時間はツアーによってさまざまで、最短1時間~最長1日。FITであれば中尊寺金色堂以外は、天候やお客様の興味に合わせて訪問地を当日決定することもある。そういった事情をふまえて、研修の訪問先には平泉・一関地区の観光スポットがほぼ全て盛り込まれた。

 

<訪問先>

岩手県立平泉世界遺産ガイダンスセンター、道の駅・平泉→車窓/柳之御所遺跡、無量光院跡、金鶏山→中尊寺→毛越寺→達谷巌毘沙門堂→車窓/厳美渓→猊鼻渓船下り

 

【岩手県立平泉世界遺産ガイダンスセンター(柳之御所資料館)】
世界にジパングの名を轟かせるきっかけとなった金色堂の美術的価値を説明するだけでは、平泉の本当の価値・魅力を伝えることにはならない。京都や鎌倉との対比の中で、どのように説明をすれば予備知識の少ない外国の方にも伝わるのか。そこで役立つのがこのガイダンスセンターである。
2021年11月20日に開館、1988年以降の柳之御所遺跡や無量光院遺跡の発掘調査により明らかになった情報を反映し、奥州藤原氏の歴史・文化を立体的に紹介している。現在の東北地方ほぼすべてが含まれる地域を奥州藤原氏(初代 清衡)が掌握していたが、そこに至るまでの流れを説明した展示資料、当時の平泉の町の範囲が立体的に分かる模型、火災で焼失した堂塔のCGもあり、往事の姿を容易に想像できる。奥州藤原氏の繁栄の源泉だった金や交易品に関する展示物も充実している。平泉を案内する上で難しいのは、歴史を象徴する建造物が数か所しか現存していないこと。ガイダンスセンターはそれを補ってくれるので、時間が許すならばここから案内を始めたい。

 

【中尊寺】
正式には月見坂を上って中尊寺へ向かうのだが、道の傾斜がきついため、中尊寺ハスの前でバスを降りて、金色堂や讃衡蔵(宝物館)へ向かう。中尊寺ハスは、1950年に発足した学術調査団メンバーだったハス博士・大賀一郎氏が、4代泰衡の首桶に入っていたハスの種を持ち帰り発芽に挑戦したが果たせず、弟子の長島時子博士が1998年に見事発芽に成功させた。
金色堂→経堂→芭蕉句碑→旧覆堂を見てから、讃衡蔵を見学。その後、本堂、東物見台などを順に見て、バスが待機するレストハウスの駐車場へ向かうルートで回った。金色堂内では、外国語の説明アナウンス放送を依頼することができるが、金色堂、讃衡蔵共に場内でのガイドによる説明は原則禁止、写真・ビデオ撮影も禁止なので注意。旧覆堂で上映中の1962年~68年の金色堂解体修理のドキュメンタリービデオ(25分)は必見。

(中尊寺)

(毛越寺)

 

【猊鼻渓(げいびけい)】
一関市街地から東へ20分、猊鼻渓に到着する。猊鼻渓の少し手前でセメント用に石灰岩を削り出した山肌が見えるが、この石灰岩を砂鉄川が削り取った景観が猊鼻渓である。猊鼻渓船下りは、一年中運航。研修当日は雨天だったが、屋根をつけた船で運航してくださった。冬はこたつ船で雪景色を見ながらの船下りも情緒があり、四季折々の美しさを楽しめる。インバウンド人気を受け、以前は乗船の際に靴を脱いでいたが、今は靴を脱がずに座れる椅子席船も増やしたそうだ。

(猊鼻渓)

(猊鼻渓川下り)

 

平泉の世界遺産登録の正式名称は、『平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群』である。

構成資産は:
①中尊寺(金色堂、旧覆堂、経蔵、大池跡)
②毛越寺(庭園、常行堂)
③観自在王院跡
④無量光院跡
⑤金鶏山
である。

 

世界遺産「平泉」の関連資産は(2011年登録からは除外):
①政庁である柳之御所遺跡
②達谷窟
③中尊寺を支えた骨寺村荘園遺跡(一関市)
④物資の出入り口である北上川の川湊の白鳥舘遺跡(奥州市)
⑤宗教施設の元となった長者ヶ原廃寺跡(奥州市)

 

平泉町では現在も世界遺産の拡大登録をめざして活動を続けており、実際、今後新たな遺跡や遺物が発見される可能性も十分にある。また今回、平泉が栄えた900年前と変わらない美しい東北の緑の自然にも感動し、今後ますますツアーで訪問する機会が増えるのではないかと期待を強くした。

(楠あかね JFGフランス語ガイド 千葉県在住)

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