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Oh, kimono !

2020.4.15

日本を訪れる外国人観光客、特に女性の間では、着物体験が大変な人気ですね。レンタルショップで着物を着せてもらい、観光地を歩くその表情は本当に嬉しそうです。娘さんと一緒に振袖を着ているお母さん。黒紋付にスニーカーを履いているおねえさん。浴衣に帯揚げを結んでいるお嬢さん。その人達に、“Oh, kimono, beautiful !” と言ってカメラを向けるおじ様。

 

こういう光景に出くわすと、もちろん実際に言うわけではありませんが、その方達に言いたくなるのです。「その着物変やで」。

 

着物には年齢や格式などの一定の決まりがあることを客に伝えず、外国の方は着たい着物を着ればいい、履きたいものを履けばいいと、「お客様本位」の方針を取っているレンタルショップが観光地には多いのかもしれません。外国人観光客に罪はありませんし、レンタルショップに罪をかぶせるつもりもありません。

 

着物は日本の民族衣装ですが、今は、日常的に着る人は本当に少ないですよね。街を歩いていても着物姿の人を見かけるのは稀です。私が子供の頃(50年くらい前)は、日常的に着物を着ている女性は珍しくなかったのですが、今や着物は特別な日に着る「非日常着」となってしまいました。

 

もっと着物を着る機会を増やしたいと思っている日本人は少なくない、と私は思っています。しかし、それを躊躇させてしまう理由が、着物にはあります。着るのに時間がかかるし、動きにくいし、自宅で洗えないし、着終わった後も片付けに時間と手間がかかります。その点、洋服は、さっと着られ、動き易くて、汚れても自分で洗える素材が多くて実用的です。うどんでもスパゲティーミートソースでも気軽に食べられます。

 

洋服に軍配が上がっている状況の下、今のままでは、着物は廃れないまでも、日本文化の一端とは言えないまでに衰退してしまう恐れがあります。

そこでみなさん、相談ですが、もっと着物を着る機会を増やしませんか。着物の美しさは世界の人達が認めて下さっています。お友達と会ったり、外で食事をする際に着物を着るのはいかがでしょう。街着として着物を着ている日本人が増えれば、外国の方がそれを目にする機会も増え、日本の風景として、旅の思い出に残るかもしれません。

 

また、ガイドとして、着物も含めた日本文化の説明にも深みが出てくると思います。日本文化を継承していけるのは日本人自身です。

 

 

ところで、着物が似合わない日本人はいませんね。着物を着ると、どんな男性でも間違いなく男前が上がります。男性方、がんばって下さい。着物を着た日本人女性は、芍薬、牡丹、百合と見間違うばかりに美しいです。

 

私ですか?着物を着た時は皆さん、首から下ばかり褒めて下さいます。

(加藤 朋子)

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