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【通訳ガイドレポート10月号】東京2020大会 体験談

2021.10.15

皆様、こんにちは! 2017年度合格の全国通訳案内士(英語)の曽我悠と申します。
2021年夏、東京2020オリンピック・パラリンピック大会が開催されましたね。
東京2020大会を目標に全国通訳案内士になった方も多いのではないでしょうか。
私もその一人です。
本来であれば、観戦にきた海外からのお客様の観光ツアーガイドとしてオリパラに関わりたいと思っていましたが、コロナ禍によりそれは叶いませんでした。
でも、ガイドとしてではなくても東京2020大会で働きたい!と、私は2021年4-5月に営業活動をし、晴れて組織委員会事務局職員としてオリンピック大会にて勤務することができました。様々なご意見のある大会ではありましたが、私にとっては、東京2020大会で働いたことは一生の財産となりました。

 

今回は、東京2020大会勤務体験を通じて私が実感した、「通訳ガイドのスキルが持つポテンシャル」についてお伝えします!
私は大手派遣会社から、とある競技場の大会関係者エリアの副マネージャー職にアサインされました。
大会関係者とは、大会組織委員会の役員や各競技連盟の国内外役員、各国の国家元首やスポーツ大臣などを指します。つまり、視察に訪れるVIPの方々です。そういった方々の専用観戦スタンドやラウンジの運営管理を担う役職でした。
VIP対応の職務なので、通訳ガイドは「外国語を使うおもてなし職」ということでオファーをいただけたようです。けれども、実際に働いてみると、いわゆる「お客様へのおもてなし」といった観点以外にも、通訳ガイドのスキルは国際大型イベントの勤務時に大変役にたつことがわかりました。

 

まずは、「文化や価値観の差を汲んで通訳や説明をすることで、外国人と地元の人の双方が心地よく交流できるように取り計らう」というスキルについて。
私が所属していた部署には外国語人材の職員も多く、チーム内の公用語は英語でした。けれども、大多数の関連部門は日本人オンリーで構成され、英語が全く話せない部門も少なくありません。私の上司は英語人材だったので、日本語人材の方々との通訳や調整業務も副マネージャーの仕事でした。
言ってみれば、同じ組織の中に外資系会社と典型的な国内企業の価値観が混在しているようなもの。足並みをそろえるのがなかなか難しく、関連部門との調整に緊張が走ることもありました。
ミーティング時の通訳では、「悪気はないけれども自由奔放で主張の強い訪日客と、インバウンド対応に慣れておらず必要以上に身構えている地元業者さん」の間を繋ぐ時を思い出しながら、言外にある相手の考え方や背景、置かれている状況を汲んで丁寧に対応しました。骨は折れましたが、双方が折り合いをつけ、笑顔で課題解決の着地ができた時には心からほっとしました。

 

次は、「万端に準備しつつ、関係者全員とのチームワークで臨機応変に対応する」というスキル。
開会直前まで、事細かなプラン作成がたくさんありました。会場計画、人員配置計画、輸送計画、予約システムの運営計画などなど…。日々、コロナ禍で新たな感染対策の方針が打ち出され、その都度、関係各所と連携してプランをブラッシュアップしていきます。

 

そしていよいよ開会! 練りに練った計画にそってお仕事を頑張ります!
…と、意気込んでいても、いざ大会が始まると、毎日々々、予定は変更に次ぐ変更ばかりで、プラン通りに運営できることはなかなかありません。
日々、柔軟な対応とスピード感のある判断が必要となります。同僚と「あんなに準備していたのに計画通りには全然いかないね」と目を回して日々の業務にあたっていましたが、事前に詳細なプランを練っていたからこそ、それらの要所々々をピックアップし、変更対応にもプランA、B、Cと対策を次々に繰り出していけたのだと思います。
また、輸送担当、セキュリティ担当、清掃担当、スポーツ担当、リソース担当といった様々な部門の方々と常日頃から連携を取り、協力関係を築いておくことがいざという時のチームワークに繋がりました。
思いがけない出来事にも、プラン変更の共有をすぐさま行い、即座にそれぞれの分野が役割を果たしていったので、なんとか対応していけました。
これは、ツアー前に準備に準備を重ね、エージェント様・運転手様・宿泊業者様と緊密に連絡を取り合い、どんな状況にも対応していく通訳ガイドの仕事と似ていました。

 

上記で挙げたスキルは、つまりは「語学力+コミュニケーション力+瞬発力」かと思います。
通訳ガイド人材が持つこれらの力は、実は、様々なお仕事に重宝がられる、ポテンシャルの高いものではないでしょうか。
そんなことを、東京2020大会勤務を振り返って思うのでした。

 

いつインバウンドが復活するかわからず、職業人として不安な日々は続きます。
ですが、私たち通訳ガイドは今の時期に様々な活動をし、「通訳ガイドっていい人材だね」と世の中に認識してもらえれば面白い未来が待っているかもしれません。
通訳ガイドを目指す方にとっても、通訳ガイドは様々な職務に応用できるスキルを習得できるポテンシャルの高い職業なのでは、と思っていただければ幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

(曽我 悠 英語)

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